「そういえば、正臣くん。
携帯解約しちゃったんだっけ?」

突然尋ねてきた内容に、意味がわからず臨也さんを見るが、変わらず笑みを浮かべてるだけだった。

「しましたけど、それが何か?」
「まだ、新しい携帯も買ってないんだよね?」
「はあ、まぁ、そんな金もないですし・・」
「なら、よかった」

何が、という言葉は発する前にずい、と目の前に差し出されたものにより行き場を失った。
目の前に差し出されたそれ、黒のシンプルなスライド式の携帯電話。

「なんすか、これ」
「携帯電話だけど?」
「それはわかります。今目の前になんで出されてるのかがわからないんです」
「君にあげる」

言われた言葉に、驚いて、口をぽかーんと開けて呆けてしまった。
え、あげるって、え?携帯電話ってそう簡単にあげれるものだったか?

「は?」
「だから、あげる。」
「な、なんで?」
「ないと困るだろう?」
「そりゃ、そうっすけど」
「あぁ、料金は全部こっちで支払うから、金の心配はいらないよ」

全くもって意味がわからない。
俺に携帯をあげることに何のメリットもないだろうに、ホント何でだ。

「ほら、早く受け取ってよ。正臣くんは俺の好意を無駄にする気?」
「・・アンタの好意は裏がありそうで怖いんですよ」
「酷いなぁ」

クスクスと、笑いながら座っていた椅子から立ち上がって、近づいてくる。さりげない仕草で俺の右手をとって、携帯を握りしめさせた。
いりません、と押し返そうとしたら臨也さんが俺の右手を握ったまま耳元に唇を寄せて、

「俺が、正臣くんに持ってて欲しいんだよ。だから、受け取っておいて?」

まるで恋人に囁くような甘い声で言われて、不覚にもドキリと、胸が高鳴った。

「・・勿体無いから、貰っておいてあげますよ」





正臣が帰った後、臨也は近くのソファに座り、ポケットから正臣に渡したのと色違いの黄色いスライド式の携帯を取り出して画面を見つめる。

「馬鹿だなぁ、正臣くんは。まぁ、そこがかわいいところでもあるんだけどね」

携帯の画面では、地図と赤い印が場所を伝えるかのように点滅していた。





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【Faker joker】のななちゃんへ相互お礼に捧げます!
お互い色違いの携帯でGPS付き・・ってことですが、GPS機能をうまく活用できなかった、気が、する・・!

改めて、相互リンクありがとうございました!
書き直しなどはいつでも受け付けてるのでー!





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