「スカート、短すぎない?」


突然言われた言葉に何も返さず、無言で太ももを触ってくる腕を叩き落とす。
叩かれた手を擦りながら「触るくらいいいじゃない。減るわけでもないし」って言って笑ってくる臨也さんを睨みつける。
減る減らないの問題じゃないだろ!


「正臣くん、今日アレの日だったりするの?」
「・・・・・・」
「だったら今日は口でして」
「死んでください、ホント、マジで」


俺はアンタの都合の良いお人形なんかじゃない!




「正臣くんはこっちの方が似合うよ」
「そうですか」
「今日は泊まっていかないの?」
「泊まりません」
「次は上に乗ってくれる?」
「うるさい黙れ死ね」


毎日毎日似たような台詞ばっかりで、いい加減うるさい!
飽きないのか、この人は!
そのニヤニヤした顔をこっちに近づけてくるな!




「脱げばいいってモンじゃないよ、もっと色気を出そうよ」
「まず脱いでませんし」
「後ろに指入れていい?舐めさせてよ」
「死ね、ホント死ね」
「ねぇ、いつになったら潮吹くの?」
「黙ってください」


黙れ、黙れ!それしか言うことないのか、ホント。
何も言わなければメチャクチャ良い男なのに。
別に、惚気てるわけじゃないから!




「・・・臨也さん」
「何?」
「さっきから人の胸やら太ももやら触ろうとしてくんのやめてください」
「じゃあ、触らないから下着くれる?」
「っ、この変態!」
「失礼だな。でも今の言葉で興奮しちゃった」
「ドMかアンタは!」
「うーん、我慢できなくなってきちゃった・・。ヤっていい?」


その言葉に無言で臨也さんの腹に蹴りを入れる。痛みに顔を歪めて腹を抑えてる姿を見て内心、ざまぁ!って思ったのは内緒だ。
別にこの人の言ってることが全部嫌ってわけじゃない。そりゃ、嫌なものだってあるけど。
俺はただ、こういう言葉じゃなくて、「これからも一緒にいてね」とか「君のこと愛してる」だとか「いつもありがとう」とかありきたりな言葉を言ってほしいだけなのに。
臨也さんはあえてほしい言葉をくれないのかもしれないけど。

暫く蹴られた腹を抑えてうずくまってたと思ったら、何かを思い出したかのようにパソコンの方へ向かった。
チャットにでもやるのだろうか。チャットをやり始めると、この人は俺の方を向いてくれない。
俺が構ってほしくても「今いいところだから後にして」って言うし、こっち向かせる為に可愛い服を着てみせても「何着ても似合うから大丈夫」って言ってこっち全然向いてくれないし。
まるでアンタの恋人がパソコンみたいだ。

そんなんじゃ、本当に嫌いになっちゃうから。
臨也さんを信仰してる女の子達みたいに、俺は何をされても我慢できる女じゃない。
またそうやって、ちゃんと話聞いてますか?
聞いてるのに、「正臣くん、かわいい」って言って俺を抱きしめないで。

惚れた弱みってやつで、ついつい毎回許しちゃいそうになるけど、たまには優しい言葉をかけてくれたっていいでしょ。
毎日、とは言わないから。



「臨也さんのその口って、一体何の為にあるんですか?人を陥れるため?」
「俺は人を陥れてなんかいないよ、ちょっと背中を押してやってるだけさ」


どの口がそんなこというんだ、この嘘つきめ。


「でも、そうだね。この口が一体何の為にあるかっていうと、」


顔に微笑みを浮かべながら、近づいてきて、顎を軽く掴まれて上を向かされる。
言った意味と行動の意味がわからず、困惑していると、臨也さんが口を開いて


「君とキスするため、かな」


と言った。
最初は言った言葉の意味を理解できなかったが、冷静になって言葉の意味を理解していくと自分でもわかるくらい、顔に熱が集まって、赤く染まっていく。
そのままキスしてこようとする臨也さんの口を両手で塞ぐ。恥ずかしい、恥ずかしいこいつ!


「っ、黙れ、黙れこの変態!」


恥ずかしさを隠す為に言い放った言葉にも、臨也さんはそれが照れ隠しだとわかっているようで、楽しそうな表情を浮かべて塞いでいる俺の手を取り、口から退けて俺の口と自分の口を軽く重ねた。


「やっぱり可愛いね、正臣くん」


更に真っ赤になっているであろう、顔を見ながらまた微笑んで俺を抱きしめる。
ホントに、何で俺、こんな変態がいいんだろう。


「、ばっかじゃないですか、この変態!」




ネタ元/『脱げばいいってモンじゃない!』:デP



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