射月さんの言う通り彼の話術にすっかりはまったのかわからないが昔からの友達のように会話がどんどん弾む。日ごろの鬱憤も話したりしたが彼はしっかり聞いてくれた。アドバイスもしてくれて俺はだんだんと彼にのめりこんでいった。

「酔った?」
「ああ、そんなに強い方じゃないんでな」
「それにしてもよかったよ。キョンがリラックスしてくれて」
「?」
「初めみたく言葉が固くないからさ。今緊張してないだろ?」
「ハハ。すごいな、お見通しか。初めはそりゃあ緊張していたさ。俺男だし、春彦はすっげーイケメンだし」

口をとがらせて春彦を見る。

「…!」
「どうした?」
「ん、いや、なんでも」

ねぇけど…と、突然歯切れの悪くなった春彦に疑問を感じて見上げる。あー、調子に乗って飲みすぎたかもしれない。目が熱い。これは完全に潤んでいる。

「おーい春彦どーしたんだよー」

グイと顔を近づけて言ってみる。

「おまえ…!顔がちけぇぞ!」
「んー、そーかー?」

首を右にかしげて思い切り見上げる。肩を揺らしてビクッとする春彦になぜだか笑いを隠せてなくてクスクス笑っていると低い声が俺の耳元で囁いた。

「何笑ってんだよ」
「だってなんか笑える」

背筋に何か電流でも走ったような甘いしびれを隠すように一通り声を出して笑うとムッとした表情の顔が俺を見つめる。

「おまえ、誘ってんの?」
「はぁ?」
「誘ってんのかって聞いてんだよ」

おいおいおい、言葉遣いに関しては大分崩れていたが雰囲気は崩れてはいなかっただろう?どうしたんだ?

「…誰が誰を」
「お前が俺を」
「俺は男だぞ」
「知ってる」
「お前も男だ」
「そうだな」
「ありえん」
「ありえなくはない」

そういうと同性愛について語り始めた春彦に悪寒を感じて彼から身を遠ざけるように座りなおす。(と言っても気持ち程度でしかないがな)語りつくしたのか、ホラと言って彼は右手で俺の腰を抱いて思い切り引き寄せる。逃げようとするが完全に酔いが回って逃げれない。

「嫌なら逃げろよ?」
「嫌だ」
「なら、逃げろっていってるじゃねーか」
「…飲みすぎて力が…」

左手で顎を固定されたと思ったら春彦に思い切り唇をかぶりつかれる。驚いて口を開いたすきに舌を入れてからめとられる。激しいキスだった。久々にキスなんてしたものだから呼吸の仕方を忘れて唇を離すとむせかえるといった表現の方が正しいだろうか、盛大に息を吸った。安心したのはつかの間で腰にまわしていた手がいつの間にか両手を抑え、左手は股間をまさぐり始めていた。

「ッ…!!!!」
「堅くなってるじゃん。キスだけで?」
「やめろよ!!!」
「大―声出すなよー。みんなきちゃうぜ?」
「卑怯だ…!」

ゆるくなった涙腺から涙が出てきそうだった。俺はなんでホストクラブで男に股間を触られてるんだろうか、そう思ったら。

「気持ちいいんだろ?」

男と言う事もあって的確に気持ちの良いポイントをしごいてくる。器用にも片手で外したのだろう、ベルトはすっかり解かれていてチャックまでもがあいていた。パンツの中にまで手を入れられて触られた俺の性器はすっかり堅くなり勃ち上がっていた。

「やめ、ろォ」
「ハハ、ダーメ。それとも何?このまま帰るか?勃起したままこの店を出るの?変態扱いされて、この店に入れなくなるぞ?」

俺にもう会えなくなるぞ?

鼻と鼻がくっつきそうな距離で言われる。さっきも感じた電流のような何かが全身を駆け巡る。俺の理性は崩壊寸前だった。

「…ャ」
「んー?聞こえねーよ」
「いや、だ」
「フン、はじめからそういやいいんだよ」

そういうと春彦は緩急をつけて左手を上下に動かし始める。気持ち良すぎて俺は顔を上にあげて口をあけたまま息を吸い込む。うますぎる、気持ち良すぎる!!

「ふぅ、あ、も、でる…!はなせ…」
「はなしたらスーツに精液とぶけど?」

ニヤリと笑う春彦は汗の流れる俺の首筋をなめてあまがみをする。どうすればいいんだ俺は!!!混乱して何も言えない俺をいいことに春彦は右手も左手も離すと股間に顔を近づけてあろうことか性器を口に含みこんだ。要するにフェラ。人生で数えるほどしか体験したことのない俺の体は正直者で期待に溢れ、良く分からない興奮でいっぱいになった。

「大きくなった」
「いうなあ!!」

ジュポン、ジュポッと大げさに音を出して吸われまくる性器は限界にきていた。でる、と小さく一言言うとブルブルと体を震わせ達してしまった。目の前の春彦の喉が動き、形の良い口がきれいな孤を描く。こいつ…まさか

「ごちそうさん」

飲みやがった…

「おまえ、いま、何のん、だ…」
「精液」

うおおおおお本当に飲んだんだこいつ!誰のとは言わない。ここで精液を出したのはほかでもない俺だ。俺しか射精してない。絶句して固まる俺に春彦がまたしてもキスをする。

「にが、い」
「うまいよ?お前の精液。やみつきになりそう」

チャックもベルトも元に戻しながら言うと、室内についていた電話が鳴った。どうやら先生が帰るらしいので俺のところにも連絡をくれたそうだ。時間だ、と言うと何やら何かを書き始めた。

「これ」

手渡されたのはなにやらアドレスが書かれたメモ。どうやらこいつの番号らしい。

「ちなみにプライベート用。何かあったら連絡しろ?」
「……」
「いいから受け取っておけ」

俺の番号知ってるやつは早々いねーんだぞ、と不敵に笑う春彦を無言で見つめ返す。

「…またの指名おまちしております」

ニコリと笑う笑顔は、業務用だったのだ。もらったメモをクシャリと見せつけるようにポケットにしまうと急いで俺は部屋から出て先生とこの場を去った。去り際に言われた射月さんの「春彦くんはお口にあいましたか?」という言葉に気づかないふりをして。

そしてもうこんな店には二度と来ないと誓ったのだった。












「春彦くん?」
「んー」
「どうでしたか?」
「すげーうまかった。ありがとな」
「それはよかった。最近退屈そうだったのでちょっとした刺激を、と思いまして」
「さすがイツキクン。よくわかってるねー!」
「のめりこんではだめですよ」
「わーってるよ。遊びだ、遊び」





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