今夜もハルヒコがやってきた。コツンコツンと二回窓が叩かれると俺はカーテンをあけ、ついでに窓も開かにゃいかん。すると人間が部屋に進入する寸法だ。
「おい」
「なんだ」
「腹減った」
「ほう、だからなんだ」
吸血鬼くんと犠牲ちゃん
「キョン!!!!!」
「俺は健全なる学生を全うするための勉強中だ」
「なにいってんの、おまえが勉強してもたかがしれてるだろー!」
「なっ!!」
「なぁなぁ血!」
血!といって今にも俺を本当にとって食いそうなコイツは1ヶ月前に、自分は吸血鬼で血を食糧にしているのだが少し分けていただけないだろうかと理解はするが納得できない状況を説明しながら窓から不法侵入をしてきた。不可抗力で一度血を提供…じゃねぇやアレは。一方的に吸われて以来なんだかよくわからないがなつかれてしまっている。何なんだろうなこいつは……血を吸って生きているというのだから人間ではないのだろう?身近な友達の言葉を借りればちょっとしたスペクタクルなんだろうが。まぁ、そうだよな
「別に血を吸わなくても生きていけます」
「え、そうなのか?ていうか何でいきなり敬語」
「血を提供していただけることの重大さを再確認してみた」
「常に認識していてほしい。てかなんで吸う」
「人間で言う携帯だ」
「は?」
「あればあるで重宝」
「……ふぅん」
わかるようでわかりにくいたとえだな……
「あと」
「あと?」
「気持ちいいだろ」
「………」
「イケナイ気持ちにならないか?」
「…」
「ヤろ」
流されるように吸血され、なぜか当然のようにセックスしてしまった俺には十分すぎるほど理解できる。現にコイツがくるのが待ち遠しいし今もほら期待して体が熱い。
「一つ教えてくれ」
「?」
「なんで俺を選んだ」
ハルヒコは笑って俺の首筋に歯をたてた。