天までつづく梯子 | ナノ
喫茶店を出て帰路につく。あのアルバムはそんなに重くないはずなのに、日吉に託した今、鞄がとても軽い感じがした。

「長太郎」

名前に呼ばれた気がして後ろを振り返る。こんなこと名前がいなくなってからしょっちゅうだった。でも今度こそは本当に名前がそこにいた気がした。

「名前、またね」

こんな風に名前に呼ばれて振り返るのも今日で最後。今度会うときは、別の形で。それまではお別れだ。


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