一周年企画跡地 | ナノ
どうしたら身長が伸びるのか。気付けばそのことばかりを考えていた。牛乳は毎日飲んでる。でも今のところ効果は現れない。オートリに相談しても苦笑いされるだけ。キラキラした汗を滴らせるバスケ部の奴らをちらりと見る。…俺もバスケでもしたらでっかくなるのかな。

「身長が低くたってバスケはできるよ」

ヒマがあればバスケ部の練習を見に体育館にやってくる俺を見て、マネージャーの名前ちゃんはそう笑った。べつにバスケがしたいわけじゃあないのだけれども。俺テニス好きだし。
そんな俺の気持ちに気付く素振りも見せない名前ちゃんは、今日もやたら背のでっかい選手たちと仲良さそうに話してる。…あ、今話してるあいつはキャプテンだ。しかも身長がバカみたいにでかい。…樺地ぐらいありそう。

「ジローくん、バスケなら頼めば飯塚が教えてくれるかもよ?」

適当に転がってきたボールで遊んでいた俺を見て、名前ちゃんが言う。飯塚って、あのキャプテンのことだっけか。…名前ちゃんとキャプテンってなんか仲良いよな。マネージャーとキャプテンっていうのもあるんだろうけど、それを抜きにしてもあの二人は仲が良い。
俺はテニス部のマネージャーの子と付き合うなんて考えられないけど、(仲間だC〜)バスケ部は、名前ちゃんはもしかしたらそうじゃないのかもしれない。

「ジローくん?」

名前ちゃんは、キャプテンと付き合ってんのかな。とか考えたら、なんだかイライラした。なんでこんなに腹が立つんだろう。名前ちゃんは悪くないのに。
名前ちゃんは俺のいじっていたボールを両手でくるくる回し始めた。

「私はバスケが好きだけど、それ以上に何かに一所懸命打ち込んでいる人が好き。だから部活が好き」
「…俺も部活すき」
「だから、テニスに一所懸命なジローくんすごくかっこいいと思うよ」

名前ちゃんがそう言った瞬間、俺の視界が一気に晴れた気がする。そして、気付いた。俺はこの子が好き、だ。

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