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サエ先輩と黒羽先輩って本当に彼女想いの素敵な先輩たちだと思う。なのに、どうして彼女さんたちは先輩たちの想いを蔑ろにするんだろう。
確かにサエ先輩はちょっと独占欲強そうだし、束縛するらしいから嫌になっちゃうこともあるかもしれない。ていうかむしろ、私だったら無理。もっとさばさばしたお付き合いがしたい。だから、サエ先輩の彼女さんの気持ちはちょっとだけわかる。
でも、あんなに男らしくて頼りがいのある黒羽先輩の何が気に入らないのかはさっぱり理解できない。

黒羽先輩は自分の彼女がサエ先輩に惹かれていることを知っている。そのことについて相談を受けたその日から、一途な黒羽先輩に無情にも惹かれてしまった馬鹿は私だ。
黒羽先輩の大きな手が彼女さんの頭を撫でる度、あああれが私だったらなんていう不毛な妄想をしてしまう。

「ため息をつくと幸せが逃げるぞ」
「…ダビくん」

そして、私とこの男の登場によって私たちの関係がこれ以上ないくらい複雑なものになってしまったことに気付いたのは、最近のことだった。

「六角中で六角関係……プッ」
「笑えないよ…」
「…そうだな」

こんなダジャレ男の何に惹かれたのかは一切謎だが、サエ先輩の彼女が行き着いた先は天根ヒカルの元だったらしい。
そして筋書き通りと言うか何というか、ダビくんは私を好きだと言った。

黒羽先輩は彼女さん一筋。でも彼女さんはサエ先輩に束縛されたい。そんなサエ先輩は彼女さんが好きなのに、彼女さんはダビくんに惹かれた。なぜかダビくんは私を好きになってくれたけど、私は黒羽先輩を諦められない。
何度も整理しようとしたけれど、いつもごちゃごちゃになる。三角関係ならぬ六角関係なんて聞いたことがない。

「三角関係が崩れたら血の雨が降るなんて言うが、六角関係が崩れたらどうなるんだろうな」
「土砂降り?」
「そうなったら俺の傘にいれてやる」

真顔でとびきり優しいことを言うこの男を好きになれたら楽なんだろう。むしろそんなところにサエ先輩の彼女は惹かれたのかな。だからこそ、私はその優しさに甘えることができないんだ。

「駄目だよ」
「…何故だ?」
「きっとダビくんの傘に入ってても黒羽先輩の背中追っちゃうもの」

だから今のままでいいんだよと笑えば、ダビくんは眉間にしわを寄せて深く考えこんでしまった。ループは終わらない。


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設定だけはネタですね