バレンタインなんてかったるいだけ、と思っていたのに、気付けば板チョコを買っていた。バレンタイン前日がこんなにドキドキするものとは、知らなかった。

「何で、俺が…」

目の前に並べた、ハートの型抜きの中のチョコを見て顔をしかめる。自分で作ったのに、何だか自分が作ったものではないように思えてきた。こんなこと、一生あり得ないと思っていたのに。貰うことは、自慢ではないが、たくさんある。でも、作るのは一生無いと思っていた。一応、男だし。本場では男性が女性にプレゼントするらしいが、日本では逆だ。だから、絶対無いと思っていたのに。

「そんなに、好きなのか…?」

そう聞いても、返事は帰ってこない。別に、期待もしていないが。俺は、ため息をついてから、一番大きなハートのチョコを箱に入れた。

「明日、か…」

きっと、雄一はたくさんの女子からもらうんだろうけど、気持ちは一番こもってる、はず。早く、明日になればいいのに。そう、箱にリボンを巻きながら思った。




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