柔らかく触れる唇がナサニエルを溶かす。しっかりと繋ぎあった手のひらからは温もりが伝わってきた。

「これが、永遠に続けばいいのに」

ナサニエルは小さな声でそう漏らした。頭をバーティミアスの胸に抱き寄せらせて、そのまま身を委ねる。バーティミアスは何も言わずに、ナサニエルの頭を優しく撫でた。

「世界中の言語でお前に、愛している、と伝えたい」

その場で思い付く限りの言語で愛しているの言葉を紡いでいく。しかし、途中でバーティミアスの唇でそれを阻まれてしまった。

「言葉なんて、砂漠の砂だ。俺は、お前の気持ちをここから感じられる」

そう言って、バーティミアスは早く脈打つナサニエルの心臓に手を当てた。

「俺にはそれはない」

だから、とバーティミアスは再びナサニエルの額にキスを落とす。次は瞼、鼻先、頬、最後に唇に触れた。

「ここから感じろ」

バーティミアスはナサニエルを見て、ゆったりと微笑む。それにつられて、ナサニエルも微笑んだ。

「今、僕にはお前しか見えない」
「今だけ、か?」

バーティミアスがおどけて言う。

「あぁ、今までも、今も、これからも、お前しか見えない」
「俺も同じだ。ナサニエルしか見えてない」

コツンと額をぶつけられて、ナサニエルはバーティミアスの首に腕を回して、バーティミアスを抱き寄せた。

「余所見はするな」

そう言って、バーティミアスの唇に噛みつく。バーティミアスの瞳には、ナサニエルだけが映っていた。




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