失ってから気付いた。俺は、ナサニエルを相当愛していたらしい。ナサニエルの姿を借りて、再び思い出す、ナサニエルの顔立ち、線の細さ。少し思い出すだけで、愛しくてたまらない。ぎゅうと締め付けられるような感覚に陥る。ナサニエルの全てが俺であったように、俺の全てもナサニエルであった。思い出す度に、俺が生かされている意味を考えてしまう。ナサニエルが居ないのなら、俺は…。
ナサニエルに必要とされていることが心地よかった。愛されていると感じるだけで幸せだった。失うことがこんなに辛いとは、考えてもいなかった。喪失感に捕らわれた俺は、することもなく、空気のようにあてもなく宙を彷徨っていた。

すべての意味を失った
(叶うことなら、もう一度抱き締めて欲しい)


君がいない5題/Chien11


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