プトレマイオスが俺を呼ぶ声は、あまりにも優しかった。レカイト、と呼んで、柔らかく微笑む。俺はその笑顔が好きだった。触れたら脆く、すぐにでも壊れてしまいそうなほど、華奢な身体はきちんと温もりを持っていた。会いたい。声が聞きたい。また、名前を呼んで欲しい。俺は真紅の薔薇の花弁を散らせて、ゆっくりと目を瞑った。揺らいだプトレマイオスの影が見えたとき、異世界の空気が大きく歪む。まるで、俺の想いに呼応しているかのように…。



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -