最近、無性にイライラする。ナサニエルはペンを握りしめたまま頭を掻いた。心が揺らいで仕方ない。ため息をついても、心のつかえが取れることはない。その原因が、バーティミアス。何故だかは分からないが、いつもナサニエルの頭の片隅に居座り、消えることがない。今、バーティミアスが何処で何をしているのかを、ナサニエルは知りたくて堪らなかった。最初は、本名のことがあるからだろうと思っていたが、どうやらそうではないらしい。バーティミアスのことを考えるだけで、心臓がぎゅうと締め付けられる感覚に陥る。苦しくて、苦しくて、バーティミアスが目の前に居ないだけで不安になる。昨日、そのことをパイパーに相談(もちろん名前は伏せた)したら、あっさりとそれは恋ですね、と断言されてしまった。もし、仮に彼女が言うように、これが恋だとしたら、恋とはこんなにも不安で苦しいものなのか。ナサニエルは握りしめたままだったペンを握り直した。

「仕事を、続けなきゃ…」

目の前の高い山を片付けてから、このことはじっくり考えよう。ナサニエルはそう思ったが、頭の片隅に居座るバーティミアスが居なくなることは無かった。



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