「レカイト、僕は君に触れられるかな」
俺は思わずぽかんとした。なぜなら、プトレマイオスは俺に触れているからだ。
「何を言ってるんだ?触れてるだろ」
「そうじゃなくてさ」
そう言うと、プトレマイオスは漆黒の瞳で俺の瞳を覗き込む。ふっと頬を緩めて、俺の頬に触れた。
「僕は、君の心に触れたいんだよ、レカイト」
「そんなの、とっくに触れてるだろう」
今まで俺が仕えてきたどんな人間とも違う。俺がこんな風になるのは、プトレマイオスが相手の時だけだ。俺は、プトレマイオスの細い手に自分の手を重ねた。もっと俺の全てを、触れて、感じて、知ればいい。