夢を、見た。深い深い夢。そこで見たのは、バーティミアスと、バーティミアスがよくなるエジプト人の少年。名前は確か、プトレマイオスと言ったか。夢の中で名前を聞いただけだから、その名前の真偽のほどはわかりかねるが、バーティミアスが彼をそう呼んでいたから、確かだろう。しかし、彼はバーティミアスを、レカイト、と呼んでいた。自分とは違う。そこで何となくではあるが、悟ってしまった。彼らには、自分とは違う深い関係があるのだと。つん、と鼻の奥が痛くなった。だが、それよりも、心臓の締め付けられるような感覚は今も残っている。
そして、しばらく二人を眺めていてわかった。彼と自分は正反対ではあるが、ところどころで、自分と同じところがある、と。はっきり示せと言われても難しいが、雰囲気がよく似ている気がする。こんなことを言ったら、彼に失礼かも知れないが、似ているのだ。

「だから、か」

夢から醒めて、一人呟いた。自分は、純粋にバーティミアスを愛している。バーティミアスもそうだと思っていた。それに、愛している、とも言ってくれた。だが、それは、ジョン・マンドレイクやナサニエルという人物ではなく、その中に垣間見える、プトレマイオスと似ている部分にであった。
所詮、夢。されど、夢。
もしかしたら、自分もバーティミアスに誰かの影を見ているのかもしれない。そう考えた瞬間に、頬を涙が伝った。


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