ああもうお前なんて大嫌いだ。暑苦しいし、うるせぇし、喧嘩っ早い癖に優しかったり、笑顔は太陽みたいだったり。調子の狂うことをかるーく言うし、誰からも好かれるし。そうだ。だから、お前なんて、大嫌いだ。その炎ごと凍らせてやる。
 それだけの思いの丈をぶつけて、いつものように喧嘩を始めた。別に、いつもと同じ。普段通り。恋仲と呼べる関係になったところで、これは変わりない。ツリ目だのタレ目だの、単細胞だ変態だ、などと言い合いながら殴り合う。ある種のじゃれ合いだとルーシィは言っていた。

「きらいだよ!」

 お前なんかもう、俺の持っていないものを全て持って居やがって。それでも、何で俺を選んだんだよ。
 その意味を込めたつもりが、ナツが心なしかしょんぼりとする。弁解しようとした言葉は上手く出て来ない。視線を彷徨わせていると、先にナツが口を開いた。

「そうかよ! けどな、俺は、何があっても、グレイが好きだ」

 わっと顔に熱が集まる。ここは、いつも通りのギルドで、仲間がいっぱい居て、俺たちを見ていて。つまり。
 きらいだきらいだ。そういう場所をわきまえないで、恥ずかしい台詞をさらっと言うところも、その言葉にどきどきとしている俺も。俺は、盛大にため息をついた。

「ああもう、好きだバカ」

 小さな声で言ってやる。それにナツは満足そうに笑った。俺だって、何があってもお前が好きだよ。


好きなのに、嫌いな君
意地っ張りな恋/瑠璃






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