二人の共通点は一体何だったのだろう。残念ながら、思いつくものが一つも無い。自分と彼が重なることは、絶対になかった。光の中で輝く彼と、影の中でひっそりと暮らす自分。運命が交わるはずは絶対になかったはずなのに。何故、俺は彼に惹かれて、彼は俺に惹かれた? あのとき、彼が光の中で俺に微笑まなかったら……。

「……加護?」

 心配そうな彼の顔が、俺の顔を覗きこむ。一緒に帰っていることも忘れて、物思いにふけってしまったらしい。

「ごめんね、ぼーっとしてた」
「大丈夫か?」

 まだ心配そうな喜多嶋は俺の額に手を当てる。熱はないな、と呟いてから、じっと瞳を見つめられた。

「何かあるなら、俺が聞くから。一人で、抱えるなよ」

 照れたようにそらされた瞳と、薄く朱に染まった頬に愛しさがこみ上げてくる。俺はそっと彼を抱き締めた。

「何だっ、急に……」
「好きだよ、翔」

 耳元で小さく囁く。共通点なんて、そんなものはない。二人は永遠に背中合わせで、運命が交わることだってない。それでも俺は、彼に恋をした。光の中で彼が、俺に微笑んでくれたから……。

「俺も、好き、だから……」

 小さな声の返事が届いた。こうしてまた、俺は彼と恋に落ちる。





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