「ウル……っ!!」

俺の隣で寝ていたグレイが、うなされたように師匠の名前を震える声で叫んだ。寂しそうな、苦しそうな、そんな感じがして、グレイの額には汗が浮かんでいる。辛そうなグレイを見ること以上に、嫌なことはない。だが、俺には夢からグレイを守ってやることは出来ない。俺に出来ることは、涙を拭って、震える細い身体を抱き締めることだけだ。

「ごめんな、グレイ」

思わず俺は呟いていた。俺がグレイの悲しみや苦しみを消し去ることが出来たらいいのに。でも、残念ながらそれは出来ない。俺はグレイの目尻に溜まった、透明な雫を指ですくった。

「悲しかったら、泣けばいい。苦しかったら叫べばいい。俺が、全部受け止める」

グレイの顔が泣きそうに歪む。しばらくの間、何も言わずに、俺をじっと見つめていたが、緊張が緩んだのか、くたりと俺の肩に寄り掛かって眠りに落ちてしまった。グレイを寝かせ直して、布団を肩までかけてやる。もう少し、この恋人は俺に甘えてもいいと思う。俺が、全部全部、受け止めるから。




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