どこから星を眺めていても、同じ星座が見える。空は一つに繋がっている。

「ねぇ、レカイト」
「どうした?」

あの星、と指差されても、空を見上げれば、星、星、星。どれを言っているのかわからない。

「どれだ?」

俺は必死にプトレマイオスの指差す方向に目を凝らす。あれか?いや、もうちょっと右か。あれ…ではないな。その左?悪戦苦闘していると、プトレマイオスにくすりと笑われた。

「なんだよ。何が可笑しい?」
「いや、君が頑張って僕の見ている先を見ようとしてくれているからさ」

そう言って、プトレマイオスはおろした手を俺の頭に乗せる。

「君は何を見ているんだい?レカイト」

あの星だと思った、と言って腕を伸ばすと、プトレマイオスはにっこりと笑ってあれね、と涼しげに言った。俺は眉間にシワを寄せる。

「わかったのか?」
「うん。あれでしょう?」

プトレマイオスの指差す方向は未だにわからない。俺はため息をついた。

「俺にはわからない」
「わかってくれなくてもいいよ」

プトレマイオスが穏やかに微笑む。遠い星を見た少年が静かに口を開いた。

「どの星を指差したかなんて、自分でもわからない。だから、誰かにわかってもらおうとなんて思ってない。その星を探して、理解しようとしてくれるのは、とても嬉しいことだよ。きっと君は優しいから、そっくり僕と同じ星を見ようとしていた。でも、少しくらい違ってもいいんだよ。同じ方向を見ていれば、そのどこかに同じものを見ているはずだから。僕の目に映る星は、君の見ている星と同じであると思いたい」

少年が伸ばす手は星々には届かない。寂しげに笑った彼が、俺を見る。

「この星空のように、君の想いと僕の想いが一つであったなら嬉しいよ」

俺はプトレマイオスの質問には答えずに、プトレマイオスが伸ばした手を引き寄せて、その甲に口付けた。空は一つ。どこに居ても同じものが見える。遠く離れても、世界は同じ。当然、俺とプトレマイオスの想いは一つに決まっている。









×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -