プトレマイオスと居たときも、こうして二人で月を眺めたことがある。そのときは、砂漠に二人で寝転んで、澄み渡る星空と一緒に月を眺めた。そして、今、俺の隣に居るのはナサニエル。二人でベッドに寝転んで、部屋の窓から月を眺めている。

「月が綺麗だな…」

ナサニエルがしみじみと呟いた。月明かりで小僧の横顔は美しく照らされている。あのときと一緒だ。何千年経とうと、この月だけは変わらない。隣に居る人は変わっても、愛する者にはかわりない。

「月が、綺麗だな」

俺の呟きにナサニエルは、え、と声をあげた。何だよ、と聞くと、顔だけをこちらに向ける。

「それ、さっき僕が言ったんだけど」
「ちゃんと聞いてたぞ。俺も同じことを思ったから言っただけだ」

そのあとのナサニエルの反論は無かった。俺はもう一度、空を見上げる。この月はいつまで見られるのだろう。ナサニエルと二人で見られるのはいつまでだろうか。俺は少し考えてから頭を振った。考えても仕方がない。俺は笑みをこぼした。

「月が、本当に綺麗だな」

俺は月をみあげたまま言う、。ナサニエルの返事はない。別に返事を、期待していたわけではなかった。だから、それでよかった。二千年も変わらない月は、柔らかい明かりで俺たちを照らしていた。




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