フェイキアールに胸ぐらを掴んで引き寄せられた。突然の衝撃に、一瞬息が詰まる。

「…んっ、く……っ何すんだよ、フェイキアールっ」

俺が叫んでもフェイキアールは何も答えず、薄ら笑いを浮かべた。何が何だかわからなくて気味が悪い。俺はフェイキアールを睨み付ける。

「何が、したいんだ…?」
「本当に、お前は何もわかっていないんだな」

勢いよく壁に背中を叩きつけられて、俺は小さく喘いだ。ずるずると壁に寄りかかったまま、俺はその場にしゃがみこんでしまう。

「別の妖霊に深く踏み込むことは罪だ」

俺を見下したフェイキアールが言った。意味がわからない。俺はフェイキアールを目だけで見上げた。

「罪人はお前だ、バーティミアス」

どんっ、と音を立てて俺の頭の横に左手をついたフェイキアールは、右手で俺の顎をなぞる。その指で顎を少し持ち上げられた俺は、否が応でもフェイキアールと目を合わせなくてはならなくなった。

「何が言いたいんだ」
「言葉通りの意味だ」

フェイキアールに顔を寄せられて、あっという間に距離はゼロ。俺はわけが分からず、何度か瞬きをした。

「責任を取れ。お前は私に深く踏み込み過ぎた」

そう言って、フェイキアールはもう一度、俺に口付ける。

「バーティミアス、いい加減、理解しろ」

理解なんてとうにしている。受け入れるか受け入れないかは俺次第。…だが、覚悟は決まっていた。

「罰なら、いくらでも受けてやるよ」
「全く、可愛いげが無いな。だが、お前らしい」

フェイキアールは目を細める。

「償え、バーティミアス」

俺はフェイキアールの唇に噛みついてやった。




ついった上で実施の10分リクエストより


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