二千年ほど前に同じものを見た。ミイラの棺。あの時は、プトレマイオスと一緒に見ていた。僕はどうなるんだろう、と呟いていたプトレマイオスの、本当の最期は知らない。
今、俺の隣に居るのはナサニエル。棺を見つめて、何を思って彼は生きていたのか、などと呟いている。
時が流れて、俺はもう一度、この棺に出会った。二千年前はもっと美しく装飾が施されていたのに、今ではそれも剥げかかっている。どれだけ時が流れても、変わらないものもある。もちろん、変わってしまうものもある。プトレマイオスへの想いは変わらない。だが、同じ気持ちをナサニエルにも抱いている。また、二千年後に、今見ているものを見るかもしれない。俺は、そっとナサニエルの手を繋ぎ取った。二千年前のあの時と同じように。








×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -