「ねぇ、レカイト」

プトレマイオスに呼ばれて、俺は振り返る。俺が見ると、プトレマイオスはパピルスに何やら文字を書き込んでいた。その文字は遠くからでは見えない。

「何だ?」
「もし、来世があったら、また出会えるかな?」

一瞬手を止めたプトレマイオスが静かに言う。俺は満天の夜空を見た。

「願っていれば、出会えるさ」

星が一つ夜空を駆ける。俺はその星に手を伸ばした。どんなに腕を伸ばしても、手は届かない。

「願わなくても、僕がもう一度君を呼べば会える」

自己解決してしまったね、とプトレマイオスは顔を上げて、俺に笑いかける。それから、書いていたものをその場に置いて、俺の傍に来た。

「来世じゃ、お前さんの性格が豹変してたりしてな」
「ふふっ、こんなかんじかな?愚かな悪魔よ、私に跪くがいい」

わざとらしく、大袈裟に言うプトレマイオスの前に、俺は跪く。恭しく一礼したあと、プトレマイオスの手を取って、その手の甲に口付けた。

「このバーティミアス、来世もその先も、永遠に貴方のものでありましょう」

俺はそうプトレマイオスに笑いかける。プトレマイオスは満足気な笑みを浮かべた。俺の、俺だけの小さな王様。俺はもう一度呼ばれるまで、何千年先でも待ち続ける。





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