いつだったか、バーティミアスの瞳が自分を映していないことに気付いた。バーティミアスは自分を通り越して違うものを映しているのだ、と。幼かったころは気付かなかった。盲目的にバーティミアスを愛し、自分はバーティミアスを正面から見ていなかった。だが、様々なことに余裕が出来て、バーティミアスをきちんと見られるようになってから、気付いてしまったのだ。バーティミアスは、自分を見ていない。

「バーティミアス、お前のその瞳に映るのは誰なんだ?」

ナサニエルは虚空に問いかけた。返事は当然、無い。バーティミアスのために、しばらくは知らないフリを続けようと思う。自分が、苦しくなるまでは。







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