「どうにかして、どうにかできんのか?」
何が、と俺が返すと、フェイキアールはため息をついて、この状況をだ、と言った。どうにか、と言ったところで、どうにもならないから仕方ないのだ。俺は砂漠を見つめた。
「今さらじゃないか、どうにもならないのは」
ぐりぐりと砂漠に文字を書き出したフェイキアールに俺は言った。俺の言葉に、フェイキアールは書く手を止める。
「私は、どうにかしたいのだ」
「俺は、どうでもいい。俺を巻き込むな」
じっとフェイキアールを見ると、瞳から生気が消えていた。
「この状況を変えられるとは、私も思っていない。だが、支配から抜け出せる道があるのではないのか?」
訴えるように見つめられたが、俺は目を反らした。その事を訴えている時の、フェイキアールは好きではない。
「そう簡単に抜け出せるわけがない」
「わかってる」
フェイキアールはそれだけ言うと、それっきり唇を閉ざした。俺も何も話さなかった。ただ、俺達を夜空の星が騒がしく瞬きながら見守っていた。
×