「この先、俺達はどのくらい生きるんだろうな」
俺の呟きにフェイキアールは、さぁな、とだけ素っ気なく返す。別に、返事が欲しかったわけではなかったから、そんな程度の返事でよかった。
「空のように果ての無い記憶が、どこまで続いているのかが知りたい」
俺は天を仰ぐ。砂漠の上に眩しいほど晴れ渡った青が、どこまでも続いていた。俺は空に手を伸ばした。
「結局、俺達は人間の手によって、こうやって一緒に居られる時間も決められているのか」
「だから、私はいつも人間などろくでもない、と言っているんだ。いい加減、お前もわかったらどうだ?バーティミアス」
「はいはい」
俺は耳を塞ぐフリをする。フェイキアールの話を聞いたが最後、晴れてフェイキアール教の信者だ。フェイキアールは話術が優れているから、そんな気になって来る。
「時間が過ぎれば、いずれ滅びる時が訪れる」
フェイキアールは空を見上げた。
「夜が来てまた朝が来る。どんなに、人間たちに抗おうと、それには抗えない」
フェイキアールが切なげに言う。太陽は俺達を容赦無く照り付けていた。
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