バーティミアスに抱き寄せられた。そっと優しく頭を撫でられると、何の前触れも無く、キスをされる。一瞬だけ重なって、唇も身体も離された。
「な、何?」
「…なんとなく」
ふいと、バーティミアスは心なしか赤い顔を背ける。
「なんとなく、って何だよ」
「したいから、なんとなく、した…」
ナサニエルはバーティミアスをこちらに向かせて、一瞬だけ唇を重ねた。驚いたようにナサニエルを見つめるバーティミアスに、なんとなくだ、と言ってやる。
「ばぁか」
困ったように笑って言われて、ナサニエルは赤面した。人の姿を借りたバーティミアスは、困るほどカッコいい。絶対に本人には言わないが。
「来いよ、ナサニエル」
そう言って両手を広げた、バーティミアスの胸に体重を預ける。熱すぎるほどの体温が服越しに伝わってきた。
「愛してる」
「知ってる」
コツンと互いの額をぶつけると、どちらからともなく口付ける。交わされた熱いキスは、ナサニエルの全てを燃やし尽くすようだった。
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