「今日は、皆に土産を持ってきた」
マサトはそう言って、テーブルの上に箱を置いた。そこに五人が群がる。ワタシも後ろから覗き込んだ。
「わぁっ、八ツ橋!俺、好きなんだよねぇー」
「紅茶にも合うんですよねぇ」
オトヤとナツキが箱を見ただけで嬉しそうに言う。ヤツハシ、とは何でしょうか。
「セッシーは八ツ橋、初めてかい?」
「Yes.初めて見ました。どんなものなのですか?」
レンの言葉に首を傾げて見せると、マサトが笑って箱を開けてくれる。
「これは、有名な京都のお菓子だ」
食べてみれば分かるだろう、とマサトはワタシに一つ取ってくれた。触った感じは何だかもちもちしている。
「イタダキ、マス…」
「あぁ」
みんなに見守られながら、パクリと一口。こ、これは…
「おいしいですっ」
「それは良かった」
マサトが嬉しそうに笑った。
「そうかぁ、セシルのとこには八ツ橋ねーんだな。もったいねー」
そう言ったショウは、八ツ橋を一つ頬張る。確かにこんなおいしいもの、もったいないですね。
「たくさんの味があるんですよ」
「そうなのですか?…カレー味、などもあるのですか?」
それは有りませんね、とトキヤに苦笑いをされてしまう。
「その、他の味も持ってきたから、食べてくれ」
マサトはドサッと、山のような量の箱をテーブルに乗せる。ゴマの味や、抹茶、箱の色も様々。ヤツハシ、スバラシイお菓子です。
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