猫を見ると、バーティミアスを思い出す。しかし、どの猫を見ても、目に光がないし、毛艶も悪い。バーティミアスはそういうところにこだわっているらしく、変身する猫の瞳は爛々と輝き、毛艶もとても美しい。

「お前は美しいな」

黒猫を見つけて、しゃがんで声をかけてしまった。体には泥がつき、汚れているが、瞳だけは輝いていた。

「…バーティミアスか?」

さっきよりも小声でたずねる。

「さすがだな」

猫はにゃあと鳴くかと思いきや、普通に話し出した。予想はしていたものの、さすがのナサニエルも少しぎょっとする。

「何年の付き合いだと思っている」

ナサニエルが返事をすると、黒猫…バーティミアスは体に付着した泥を落とすように変身した。今度は毛並みも美しい黒猫だった。

「瞳だけは変わらない」

ナサニエルの呟きに、バーティミアスは味に擦り寄る。ナサニエルが顎を撫でると、気持ちよさそうに喉を鳴らした。

「帰るぞ」

ナサニエルがゆっくりと歩き出すと、バーティミアスもそれにならう。沈みかけた夕日に、寄り添う一人と一匹の姿が、柔らかく浮かんだ。


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上のと対になってる


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