あれ!?A

 突然清正と三成が険悪なムードになってしまい、困惑する正則。何やら原因の一環は自分にあるようなので余計に慌ててしまう。ぎゃあぎゃあ言い合う二人をよそに、
(俺のために二人が争っている……っ!そんな、早く止めねぇと…!)
 と正則は勘違いも甚だしく何処ぞのヒロインのような心境。


 「うるさいのだよ馬鹿!!」
「お前の方こそいい加減黙れ馬鹿!!」
 最早二言目には「馬鹿」になってしまった不毛な応酬をする二人。それを突き飛ばすようにして正則が間に入った。
「…二人共!俺のために喧嘩するのはもうやめてくれよっ!!」

 がつん!

 「……うぁっ!」
 力加減を誤ったのか、その正則の手によって三成が吹き飛ばされて、道場の壁に頭を打ってしまった。



 Σぼこっ!!

 「三成っ!!」
 清正は正則を殴り付けた後、素早く三成に駆け寄った。
「大丈夫か?ケガしてないか?」
 そしてそっと三成の手を取り、優しく抱え起こす。
 清正の流れるような一連の動作を見ながら、正則はぽかんとしていた。……自分は何故殴られたのか。しかもグーで。


 「何処も切れてないし、コブにもなってない、な。良かった…。」
「これくらい大丈夫だ、馬鹿……。」
 更には正則を置いてきぼりで二人の世界を作り始めた清正と三成。気のせいだろうか、二人の纏う空気がピンク色に見える。…先ほどの刺々しい雰囲気は何処へ行ったやら。

 殴られた右の頬を押さえながら、ただ呆然としていた正則を、突如清正がぎろりと睨み付けた。
「正則、今日の稽古は無しな。」
「えぇ!?」
 清正は恐ろしい剣幕だった。無双ゲージは絶対MAXになっているだろう。何かオーラが見える。
「清正、俺は別に…。」
 三成がそんな彼を制そうとするが、
「頭打ったんだから、しばらくはおとなしくしてないと駄目だ。」
 逆にやんわりと黙らされてしまうのだった。
「行くぞ。」
「あ、ああ……。」
 清正は三成の肩をしっかりと抱いて、二人は寄り添うようにして道場を後にした。



 正則はそのような幼馴染み二人の背中を見詰めながら、じんじんする頬の痛みと言い知れぬ寂しさに目頭を熱くした。そしてリーゼントもへちょり…と垂れて来たのだった。


 「……とんだピエロだぜっ。」





  ―おしまい☆―


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