石田三成を守る会A


 「小生には、好いた女を躊躇無く殴るってこと自体信じられないんだがな。」
「しっかりあの手甲には鉄板が仕込んであるしねぇ…。徳川の旦那、ああ見えて加虐嗜好があったりして。」
「あーありゃムッツリ助平だな。頭ん中で何考えてやがるやら。」
「ヘンタイハンタイでござる!!」
「三成の私物の管理はわれらでするか……。」
 会議はまだまだ続き、家康に対して懸念することを並べ始めればそれはキリが無さそうだった。男七人でかなり騒々しくしているのだが、三成がうるさい!と怒鳴り込んで来ないのは、吉継の呪術的な子守歌が効いているからであった。彼女は色とりどりの美しい蝶の夢を見ながら、朝までぐっすりである。




 「某、もう我慢なりませぬ!!
この真田源二郎幸村!!徳川殿に一泡吹かせて参ります!!!」

 バッターン!と扉を壊し、「熱血ぅうう!!」と幸村が部屋を飛び出して行った。深夜帯に騒ぎ立て、迷惑極まりない背中は瞬く間に見えなくなる。その場に残された全員が呆気に取られて、目を点にしながら破壊された戸から外を眺めたのだった。





 単身徳川の陣営へと乗り込んで行った幸村は、電光石火のスピードで翌朝帰って来た。そのとき彼は謎の白い袋を一つ抱えていたために、それを見た元親は「まさか中身は家康の首か!?」と慌てた。
「とんでもない。これは、徳川殿の武器でござるよ。」
 そう言って幸村が袋から取り出したものは、見覚えのある金色の手甲。
「徳川殿は言っていることとやっていることが矛盾しているので、没収して参った!」
 ……「数発殴って強奪して来た」が事実であるが。
「流石は真田よ、ヒヒ…ッ、ヒッヒッヒ……ッ。それを三成にやれば、奴も喜ぶであろ。」
 若干引きつりながら不気味に笑っている吉継も、その手甲を見てどこか嬉しそうだ(いや、彼の場合は「嬉しい」と言うよりも「してやったり」と言う気持ちだろうか)。
「そうでござるな!
三成殿〜ぉ!!とったどー!!」





 幸村が奪い取って来た家康の武器を見て三成もご機嫌、彼女に褒められて幸村もご機嫌だ。そんな二人に佐助は手製の茶菓子を笑顔で差し出す。吉継と元就も、官兵衛をからかい、謀りながら遊んでいて楽しそうにしている。義弘と元親(とその部下達)はと言えば、真っ昼間から酒を飲んで宴会を開いていた。




 石田三成を守る会の会員……否、西軍の武将達のおかげで、大坂城は今日も平和である。




   おしまい!



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