なんてったってA


 勿論返信などしなかった。しかし、孫市から続けてもう一通メールが来た。


「いつものお前の大好きなアーキーバー??でしたっけ?(笑)もいいが、徳川、何ならお前も嵐を聞いてみたらどうだ。一曲くらい覚えて石田に披露してやれば、奴の気持ちも変わるかも知れんぞ。」


 ……孫市ってメールだとこんなキャラなんだな…。
 まぁ「アーキーバー」は捨て置いて、確かにそれは妙案かも知れない。いてもたってもいられなくなったワシは、いつもの黄色いパーカーを羽織ってTSUTAYAへと急いだ。






 それから二週間後、今度は三成と二人きりでカラオケに行くことになった。ワシは張り切って嵐を歌うつもりだ!一生懸命サクラップ(櫻井翔のラップ)だって練習したし、孫市からあいつがどの曲が特にお気に入りなのかも聞き出してあるしな!




 “believe”と“One Love”を熱唱したワシ。どや顔で隣りを見ると、
「ぃ…っ、…家康!!」
 三成が突然抱き付いて来た。ええ!?何のイベントこれ!?どういうことだ、あの三成が…っ!?ああぁあ、あのささやかな胸の膨らみが押し付けられて…っ!ワシは突然の抱き付きイベントに顔を真っ赤にして頭を混乱させていた。
「貴様、翔君のあのラップを歌い切るなんて…っ!」
 三成が頬を紅潮させて興奮気味にワシを見上げる。
「素晴らしいぞ、家康のくせに!!」
 物言いはちょっと引っ掛かったが、むぎゅっと抱き付いて来る彼女が愛しくて抱き締め返した。こんなに密着するの、初めてだ……。思わず、三成の白い首筋で深呼吸。洗剤とシャンプーのいいニオイがする…。
「貴様がこんなに男前に見えたのは今日が初めてだ……家康のくせに…。ああ、翔君……。」
 瞳をぽやぽやさせている三成の、うっとりのベクトルが若干おかしい気がしたがそれはこの際目をつぶることにした。だって腕の中にすっぽりと収まる恋人が、こんなに可愛い。ああ〜幸せだ〜…。



 それからはお互いマイクを握るのもそこそこに、個室の中ワシらはぴったりひっついてくつろいでいた。
「なぁ三成、良かったらお前もAKBを「断る。」


 Σ早っ!
 …やっぱりそううまくはいかないか。でも、こうしてくっついていられるなんて大きな進展。孫市と、何より嵐に感謝しなければいけないと思った。




 めでたしめでたし!


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