とびきり素敵な女の子(現パロ・幸三)


※ご注意下さい!
こちらは、女の子になりたい幸村×にょた三成です。色々と崩壊し過ぎていて、BSRの二次創作と言うのも憚られるくらい…。「プリンセスト○トミ」を観ていて思い付いたネタで、一部劇中と同じシーンがあります。R指定をするまでも無いとは思いますが、少しだけ性的な表現力(?)があります。
最後に、生まれながらの性別と心が伴わない方々を侮辱する意図はございません。







真田幸村は、明るく素直な性格の男の子で、ちょっと天然ボケ気味で抜けているところもあったのだが、よく学びよく遊びよく笑う元気な姿はみんなから好かれていた。

そんな彼が突然「女の子になりたい」と髪の毛を伸ばし始めたは中学二年生のときだった。当然周囲は随分と驚いたが、幸村からしてみれば自分の性別に違和感を覚えたのはもっと小さな頃だったので、「突然」でも何でも無かったのであった。その翌年からは、男子生徒用の制服を着たくないと学校指定のジャージで登校を始めた。
幸村の心と体が伴わないことは学校側から生徒達に周知させていたものの、一年生のときに仲が良かった友人達は幸村から距離を置き、あること無いこと陰口を叩く者もいた。そして教師でさえも腫れ物を扱うかのように接する。家族は幸村のことを優しく受け止めてくれたが、学校で浮いた存在になってしまったことは否定できなかった。



中学の最高学年になって迎えた春、幸村が制服のスラックスを嫌がって間も無くのこと。
放課後、委員会の仕事で遅くなってしまった幸村が教室に戻ると、おそらくは部活動が終わったばかりと思われる一人の女子生徒が体操服から制服に着替えていた。最終下校間際の時間帯だったので、彼女は更衣室に行く手間を省いたのだろう。幸村はそれに気付くと、「失礼致した」とすぐに踵を返そうとした。
だが、

「別に構わん。女同士だろう。」

その女子生徒は着替えを見られたことに嫌悪しないばかりか、「女同士」と言って幸村に教室に入るよう促した。クラスメイトであるにも関わらず、目の前の少女の声を聞いたのは初めてであった。少し低くて、意志の強そうな凛とした声だった。

「すぐに最終下校のチャイムが鳴る。帰りの支度がまだなのだろう?間に合わなくなってしまうぞ。」

透き通るように美しい肌と夕焼けに反射して橙色に輝く艶やかな銀色の髪、自分を映す黄金色の瞳。そして清潔感のある白い下着を、幸村は忘れられなかった。

(何て綺麗な人なのだろうか……。)



彼女の名は、石田三成と言った。融通が利かない性格でクラスにあまり馴染めずに友人は少なかったが、成績優秀で部活の剣道の腕前は全国レベルという、文武両道に長けた生徒であった。
あの着替えの一件から、幸村と三成は友人同士となった。三成は幸村を女性として扱うが、それ以上に特別扱いすることは無かった。幸村は、それが何より心地良かった。彼女は気難しい気性をしていたが、嘘や曲がったことが嫌いな真っ直ぐな性格をしておりどこか危なっかしいところがあったため、放っておけないと世話を焼く友人が数人いた。彼らは皆気持ちのいい人物で、幸村にも優しく、作りものでない笑顔で接してくれた。三成のお陰で、幸村は学校が楽しくなった。

しかし、あるとき悪意のある同級生達により幸村の髪が切られた。

「真田、その髪は……!」
「…気持ちが悪いと、切られてしまい申した。」

背中まであった彼の栗色の髪の毛は、肩くらいの長さに乱暴に切られていた。切れ味の悪いハサミを使われたのか、毛先はバサバサになっている。

「まぁ、またすぐに伸びまする。とりあえずは理髪店に言って整えて頂こうかと。ああ、三成殿のようにショートカットにするのも良いかも知れませぬなぁ。」

幸村はへらっと笑って見せたが傷付いているのが丸分かりであった。三成の方を見ると、固く握られた拳が震えていた。

「髪は女の命ではないか!何てひどいことを!!」

三成はその日のうちに犯人グループを特定すると、主犯格の男子生徒に見事な飛び蹴りを決めた。暴力による報復に心が痛まないことは無かったが、彼女が自分のために怒り行動してくれたことが嬉しくて、幸村は中学校に入って初めて悲しくない涙を流した。

クサい言い方になってしまうが、幸村にとって三成は銀髪の天使であった。ずっと、この天使と一緒にいたいと思った。




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