なんてったって(↑の更に続き)


 件の、ワシにとっては悲劇としか言えないカラオケの一件から……三成が冷たい。
 いや、冷たいのはいつものことなのだが、口を利くことは必要最低限のみで、気安く近付くことさえ許されないような……ワシはそんな扱いを受けている。でも別れの宣告はされてないから、一応は……まだ彼氏と彼女ってことでいいんだろうか。それに今日は、また三成が家に来てくれると言うし!本当に良かった……。





 ワシは彼女をもてなそうと、お茶菓子を持って意気揚々と自室に向かった。
「三成っ!?何泣いてるんだ!?」
 扉を開けると、三成が部屋の隅に座り込み、ぽろぽろと涙を流しているではないか!そんな姿も美しくて絵になるが……っていやいや。よく見るとその手にはiPodが握られ、耳にはイヤホンがはめられているのに気付いた。
「…音楽、聞いてたのか……。」
「…あらし……。」
 何があって泣いたのかと慌てたが、どうやら音楽を聞いて感極まり、涙が出たようだった。しかしまた嵐か…。
「この新曲……神だ…っ!!」
 涙を拭いながら三成がすっくと立ち上がった。「こうはしていられん、孫市に会いに行かなくては!」
「み、三成!?」
 帰ろうとする三成の腕を咄嗟に掴む。
「えぇい離せ!私は孫市と共に嵐の鑑賞会をして、その後に討論会をするのだ!!」
 凶王の気迫で睨み付ける三成に怯み、ワシは思わず手を離してしまった。
 そして尋常じゃない速さで走り去って行く彼女を二階の窓から呆然と見送った。そう言えば、あいつはとてつもなく足が速いんだったな…。



 またしてもワシは、嵐に完敗を喫したのだった……。






 その晩、孫市からメールが届いた。


「我らが謝っても詮無きことだが、今日は石田が失礼をしたそうだな。悪かった。しかし奴は嵐に夢中なだけで悪気は無い。許せ。
 まぁ恐らくお前など石田の中では
嵐>>>>>>(超えられない壁)>>>大谷≧徳川
と言ったところなのだろうなwww」


 何で間に刑部が入ってるんだ!?しかも僅差で負けてるし!!「www」ムカつくし!!!




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