わんわん!(幸三・獣耳注意)


 ※幸村に犬の耳と尻尾が付いちゃいます。幸三で、相変わらず佐助が巻き込まれています。一応、ギャグのつもりで書きました…。






 もわんもわんと、部屋中に水蒸気のような白い煙が充満している。その中からげほっ、げほっと咳き込む声がし、ぼんやりとだが人影が二つ確認できた。
「大将、こっちに来ちゃダメだって朝言っておいただろ!」
「す、すまぬ佐助……うぇっほ!」
 この煙に撒かれている人物は、どうやら佐助と幸村のようだ。
 この大量の煙の原因を簡単に説明すると、佐助の忍術の失敗である。だがそれは彼一人の失態ではなく、幸村のせいである部分が大きかった。新しい忍術を開発したり試したりするために佐助がこの部屋籠っていたところ、そこに突然幸村が現れた。それは、使えるか使えないかも分からない術を発動したそのときこと。タイミングが悪く、幸村はその術に巻き込まれてしまったのだった。
「…で、大将ケガはない?」
「ああ、どこもおかしいところはないぞ。」
 段々煙が薄れ、二人の姿がはっきり見えてきた。この白い煙と爆発音は派手だったものの、当人達に大事はなかったようだ。しかし。
「Σ!!?
うわぁ!大将、おかしいよアンター!!!」
 主人の姿を見た途端、佐助が叫んだ。
 …それも無理はない。何故なら幸村に犬の耳と尻尾が生えていたのだから。
「貴様ら、騒々し……、っ!!?」
 騒ぎを聞き付けてやって来た三成も、幸村を見て絶句してしまった。



 幸村の頭には髪の毛と同じ色の茶色い三角の耳が生えて、ちょうど尾てい骨の辺りからは、同じく栗色をしたふっさふさの尻尾が(面白いことにこの尻尾は服を突き破っている)。
 「未完成の何だか良く分からない術」でこうなってしまったので、佐助にも幸村を元に戻す方法は分からなかった。取りあえずこのまま放置はできないので、幸村達は呪術などの不思議な術に詳しい吉継に相談してみることにした。
「なるほど、事情は分かった。だがこれは、ちとわれの知る呪術とは毛色が違うようだな。下手に手はつけられぬ。」
「そうでござるか…。」
 吉継の返答を聞いて、幸村の耳と尻尾がへちょりと垂れた。そんな彼の様子を、三成は先ほどからちらちら見ていた。彼女は、どこかうずうず、そわそわしているように見える。
「…さ、真田め!貴様の耳と尻尾を見ているとどうにもおかしな気持ちになる…っ!!貴様どういう魂胆だ!私をどうしたい!?
……と言うか、触らせろぉっ!!!」
 そしてついに、三成は幸村に襲いかかった。佐助や吉継の前だというのに幸村にがばっと抱き付き、頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「み、三成殿っ!?」
 大好きな人にむぎゅうと抱き締められている事実と、彼女から香るいい匂いに幸村の耳と尻尾が嬉しそうにぱたぱた揺れる。それを見てまた三成は堪らない気持ちになった。
「ふん、戻らなかったら私が飼ってやる。貴様にはお似合いだ。」
「…お嬢……すごい殺し文句だね…。」
(つぅかお嬢は獣耳属性だったんだ…??)
 自分の恋人である幸村に限った話かも知れないが、三成は明らかに犬耳と尻尾に興奮していた。そして幸村も、「飼ってやる」発言に「是非!」と返事をし、尻尾を千切れんばかりに振っていた。何とも嫌な感じに相性の良さそうな二人に、吉継はひっそりと溜め息を吐いたのだった。



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