4/1(佐+幸三)


 ※現パロ(高校生パロ?)です。幸三は付き合い始めたばかりのカップル。幸村、三成、鶴姫、政宗→高二、佐助→高三。佐助と幸村は幼馴染みです。





 四月の一番初めの日。年に一度の、嘘を吐いてもいい日。

 今日はいわゆるエイプリルフールってヤツだ。俺様も、今年はちょっとイタズラしちゃおっかな〜って思ってるんだけど、騙すんだったら、きっと大将ほど面白い人はいないよね。



 「大将〜!」
「おおどうした佐助!」
 授業の合間の休み時間、主に二年生が使用している昇降口の近くで大将を見付けた。その隣りには彼の友人兼ライバルである伊達政宗の姿が。二人とも体操服を着ていたから、次の授業は体育のようだ。
「それが、石田のお嬢がさ……。」
 俺はわざと険しい顔をして見せて、大将の彼女の名前を出す。その途端、大将はただでさえ大きめである栗色の瞳をぱちっと見開いて、「三成殿がどうしたと!?」と猛烈な勢いで食いついて来た。
「Ah?石田が何だっ「佐助、三成殿がどうしたとぉ!?」
 …大将うっさいな(言葉を遮られて、独眼竜の旦那も眉間にシワを寄せている)。彼女への入れ込みぶりに苦笑いを堪えつつ、俺はさも深刻そうに口を開いた。
「お嬢、さっき倒れて…保健室に運ばれて行ったんだ。何か大変な病気かも知れないって……。」
 な〜んて、勿論嘘。ただ、ちょっと具合悪そうにしてて、鶴姫ちゃんに保健室に連れて行かれてたのは本当だけどね。
「マジかよ?今朝、確かにあいつフラフラしてたもんな。」
(グッジョブ独眼竜の旦那!)
 何も知らずに話を合わせて来た眼帯の少年に、俺は心の中でVサインを送った。
「三成殿おおぉお!!」
 大将は体育館履きを放り投げ、光の速さでその場を後にした(「ばびゅん!」っていう効果音が付いちゃうような走りっぷりだった)。残された俺達はぽかんとするばかり。やべ、やり過ぎた?



 急いで大将を追いかけて保健室へ向かうと、そこは既にピンク色の空気に包まれていた。
「真田、大袈裟だぞ。私はちょっと貧血気味なだけで……。」
「いえ、顔色が悪うございます。どうか無理をなさらず…。」
「三成さんの彼は優しいですね!ピンチにズバッと駆け付ける!格好いいです〜☆」
 保健室の中には、ベッドに横たわるお嬢と、その手を大切そうに握り締めている大将、そして見詰め合う二人をキャーキャー言いながら見ている鶴姫ちゃんがいた。
「真田さん、今三成さんは男の人には分からない苦しみを受けているのです。側について、労ってあげて下さいね。お二人の赤ちゃんのためにも!」
 鶴姫ちゃんはそう言うと、「邪魔者はバシッと退散しますね〜☆」と退室して行った。思わず俺は、彼女を避けて物陰に隠れてしまった。……覗き見とかって趣味悪いよね。でももう出て行くタイミング、逃しちまったし。
「あ…赤ちゃん…!?」
 鶴姫ちゃんの言葉に赤面する大将。うろたえる大将の手を、お嬢は布団越しに自分の下腹部の上へと導いた。
「…腹痛がする。擦っていてくれ。」
「承知致した。」
 お互いほほ笑み合ってから、段々と近付いていく二人の顔。

 いやいやいやいや。
「幼馴染みのラブシーンなんぞ誰も見たくないからーっ!!!」

 辛抱堪らず、俺は積んであったトイレットペーパーの段ボールの陰から飛び出した。
「さ、佐助!?」
「猿飛!?」
 目を真ん丸にして驚く二人に背を向けて、俺は素早く保健室から脱出した。からかうつもりだったけど、なんか二人のバカップルぶりを増長させてしまっただけのようだ。

 あーあ、全然楽しくない。
(後でかすがでもからかいに行こうかな。)
 とっくに授業が始まって静まり返っている校舎内を、俺は屋上に向かってのそのそと歩いて行った。さて、昼休みまで寝てよーっと。




 …四月、馬鹿を見ました、とね。おしまい!




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