石田三成の長い白い日B


 昼休み、皆で構えたものの三成の天敵の襲来はなかった。じゃあ来るのは放課後だろうと断定して、彼女が襲われる前に帰ってしまおうと作戦を練っていた。
 …だが。
「三成!一緒に帰ろう!!」
 招かれざる客、家康はやって来た。吉継、元就、幸村、元親、佐助が三成を取り囲む。
「断る!!」
 隣りにいる吉継の手をしっかりと握り、家康をつっぱねる三成。
「照れるなよ三成ぃ☆今日はホワイトデーって特別な日だろう?恋人同士が共にいなくてどうするんだ。ちゃんとお返しも用意してあるしな!」
「いつ、誰が!貴様の恋人になった!!その上チョコレートを渡してもいないのにお返しなどおかしいだろう!!」
 家康には日本語が通じていないっぽいが、三成は構わず咆哮する。
「嫌だな、くれただろ?上履き。あれ、大事に使ってるぞ!」
「何にだ貴様!!!」
「お嬢聞いちゃうの!?」
「オカズだ!!」
「アンタも答えちゃうのかよ!?」
 サラッと清々しいまでの笑顔で答える家康(ついでに合間のツッコミは佐助のものである)。
「食べているのか!?」
「食べているのでござるか!?」
 それに声を合わせて驚いたのは三成&幸村。純な二人は意味が分からないらしい。吉継達は、そのことに少なからず安堵した。
「お前にネックレスを買ったんだ。本当は指輪を用意したかったんだが……まだそれは重いかと思って。」
「ネックレスなら長曽我部からもらった!貴様の施しなど誰が受けるか!!!」
 お呼びでないと言う事実に気付かぬまま、家康はじりじりと三成達に近付く。彼女を囲む男達には目もくれていないようだ。
「何だ元親とかぶったのか。でも、それだけじゃ何だよなぁ。ワシも一緒にプレゼントとしてもらってくれないか?
…な〜んちゃって、もうワシは三成のものなんだけどなっ☆」
「思い込みもここまで来たら笑えねぇぞ家康!」
「三成殿、某の後ろに!」
 三成の前に立ちはだかる元親と幸村を、家康はじとりとめねつける。
「…お前達、いい加減人の恋路を邪魔するのはやめてくれないか?」
「徳川、いい加減にするのは貴様の方よ「いや、大丈夫だ。」
 何か言いたげな元就を制し、三成が一歩前に出る。
「家康、今貴様は私のものだと宣言したな。ならばそれを受け入れよう。私が望むことなら、貴様は何でもしてくれる……よな?」
 つつ、と三成の白い指が家康の顎を撫ぜる。
「も、勿論!!」
 家康は顔を真っ赤にしてハァハァと息を荒げながら、激しく頷いた。
「そうか。それなら……
今後一切私につきまとうな。金輪際姿を見せるな。いっそのこと息をするな。
 冷たくも美しい笑顔を浮かべて三成は言った。それに釣られて同じく笑ったのは吉継と元就である。
「男に二言はなかろうなぁ、徳川…。ヒッヒッヒ…ッ!」
「貴様の愛する石田の命よ、違背は許されぬぞ。」
「帰るぞ。」
 真っ白になって立ち尽くす家康を完全に放置して、6人はぞろぞろと教室を出て行った。
「たい焼き食べて帰ろうよ〜。」
「お、賛成!」
「季節限定の桜餡がなかなかに美味でございましたぞ!」
「ほう、それはそれは……。」
 だなんて、楽しげな会話を残しつつ。





 「今日は三成さんの完勝ですね!」
 彼らのやりとりを見ながら、何やら必死にメモを取っていた鶴姫。
「今夜はたくさん更新できそうですっ!ああ、この恋のレースの勝者は一体どなたなんでしょう!ドキドキ☆」
 鶴姫はうっとりと瞳を閉じた。

 ……彼女が三成達をモデルに携帯小説を書いていることなど、誰が関知しているだろうか。ましてやそのサイトがかなりのアクセス数を誇っていることなど。




    おしまい!



- 13 -


[*前] | [次#]
ページ:






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -