昔、何かあったっけ?(西軍×三成・学パロ)


※毎度お馴染み設定、高校生パロ。島津のおじーちゃんは先生、クロカンは用務員さんです。






本日9月15日は、クラス対抗での球技大会が行われる日だ。ちなみに種目は、バスケットボール、バレーボール、ソフトボールの三つ。2年B組に属する元親と幸村は、絶対に優勝するぞ!と燃えていた。彼らのクラスメイトで同じくバスケに参加する三成は、そこまで気合を入れる意味が分からないと冷めた目でちらりと二人を見た。
熱気の篭る体育館の中、現在試合中のクラスは2-Cと1-A。C組のチームには親友の吉継と、まぁ友人と言えば友人の元就がいる。声を出して応援なぞはとてもじゃないが三成はしないが、二人に、特に吉継にケガが無ければいい、くらいの気持ちでそれらを眺めていたのだった。「車椅子で参加だなんて…」と遠慮する相手チームの生徒をよそに、吉継は大活躍だった。次回のパラリンピック、彼ならば代表内定は確実ではなかろうか。…と言うよりも、吉継さえいれば金メダルも取れるんじゃないか、と思えるくらいに彼の車椅子、そしてボールさばきは神懸かっていた。ここにスカウトがいないのが惜しまれてならないと、ギャラリーの生徒、教師、保護者は皆一様に思った。

三成達のクラスは順当に勝ち進み、準決勝へと駒を進めた。次の試合の相手は、吉継・元就率いるC組。一筋縄では行かない相手に、元親はとある策を講じた。
吉継封じに、三成を使ったのだ。

「刑部、危ない。休んでいろ。」
「あい、分かった。」

30秒でカタが付き、C組の生徒からは激しいブーイングが起こった。三成と吉継はベンチということになり、二人は並んで試合を見ながらペットボトルのお茶を飲んでいた。
勝利したのはエースを潰したB組で、決勝進出を決めて幸村も元親も大声を上げて喜んでいた。

「こんな試合の勝ち負けなどどうでも良いわ。暑苦しい。」

同じくこの試合は補欠だった元就が、三成の手からお茶を奪って飲み干した。



決勝の相手は2年E組。家康、政宗の二人がチームを引っ張り、勝ち上がって来たらしかった。

「……Hey,これってクラス対抗戦だったよな?」

そう言う政宗の一つしかない目線の先には、元親、幸村、吉継、佐助、そして三成がいた(ベンチに元就)。

「クラスも学年も違う奴いんじゃねーかっ!!」
「三成、今日も美しいな!」
「政宗殿、そんな小さいことを言う御仁はイケメンじゃないでござるよ。徳川殿黙って下され。」
「三成、ジャージ姿でもお前は眩しいぞ!」
「…そっちにも片倉の旦那と本多の旦那がいるくせに。徳川の旦那黙って。」

どうやら、敗退したクラスの人間が、好き勝手に参加しているようなのだ。ついでに言うと、佐助と小十郎は3年A組、忠勝は2年A組だ。
敵チームなのに家康は三成にまとわりつき、顔面に裏拳を決められていた。倒れ伏してもめげることを知らない家康を元就が思い切り踏み付け、更に吉継が車椅子ではねる。それを見て政宗が溜め息を吐いて、小十郎と渋い顔をしてアイコンタクトをしていたり。…試合が始まる前から混沌とした雰囲気にコート全体が包まれていた。

試合開始の笛が鳴り響くと、三成が走り政宗が跳び、幸村が叫んで予想通りの白熱した展開を見せた。だが、途中で家康が三成にセクハラと言う名のファールをし続けたために審判をしていた官兵衛につまみ出された。それ以降は4対5となり、B組が俄然優勢となって見事勝利を収めたのである。

「勝ちましたぞ三成殿!我々はもう負けはしませぬ!!」
「おぅ、やったな石田ぁ!今度は俺達の勝ちだ!」

幸村と元親は、喜びを爆発させて三成に抱き付いた。その勢いに三成はよろけてしまったが、佐助に支えられ転ばずに済んだ。

「何だ貴様ら、過去に私達が家康達に負けたかのような口ぶりだな。体育祭でも合唱コンクールでも、そんな記憶は無いぞ。」
「…そ、そうでござるな。口が勝手に……。」
「俺も…。」

三人は不思議そうに目をぱちくりさせながら顔を見合わせた。

「何でもいーじゃん?とりあえず三人共、優勝おめでと!俺様も気分がいいよ!」

佐助がニカッと笑ってそう言うと、釣られるように元親と幸村も笑顔になった。
そこへB組担任の義弘が現れ、
突然三成を高い高いをするように抱き上げた。

「三成どん、やったのぉ!!」
「島津、やめろ!」

三成は抵抗して暴れたが、その表情からは嫌悪は見て取れない。真っ赤な顔をして、恥ずかしがっているだけであった。それを見ている吉継の眼差しはどこまでも優しかった。



「ねーねー、帰りはガストでも寄ってこうよ!祝勝会しよう!」
「おー!帰りなんて言わずに今から行こうぜ!」

優勝して大層気分がいいらしく、元親は今すぐ学校を抜け出そうと提案した。佐助もその横で「うんうん!」と激しく頷く。

「でも、閉会式と表彰はいかがなされますか?」

真面目な幸村が、困惑した様子で隣の三成を見た。三成もサボることには賛成しかねているようだ。そんな彼らの背中を押したのはなんと義弘だった。

「オイが何とかしちゃる、みんな行ってきんしゃい!」

ぶわははは!と豪快に笑う義弘に見送られ、三成達はまだざわついている体育館を後にした。



「石田!」
「石田の旦那〜!」
「三成殿っ!!」
「三成。」
「…石田。」

元親、佐助、幸村、吉継、元就が昇降口で待っている。全員で名を呼ばなくとも、と思ったが、三成は何だかくすぐったい気持ちになってはにかんで小さく笑った。



『今日は皆と、ずっと一緒にいたい。』

通学路を歩く6人の気持ちは、この一言に尽きていた。





(…昔、何かあったっけ?)




ーおしまいー

- 31 -


[*前] | [次#]
ページ:





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -