Mの環境(西軍×三成)


 ※「Iの絶望」の続編です。西軍の皆さんに愛されまくってる三成。







 三成が家康アレルギーを起こして二週間ほどが経ったか。関ヶ原での決着が無期限で先伸ばしになったために、西方の陣営は日々総大将を囲ってゆるーく生活していた。



 そんな折、珍しいことが起こった。
「やれ困った。三成が起きて来ぬ。」
 正午近くなっても三成が起きて来ないのだ。どこか具合でも悪いのかと幸村が心配して小姓に見に行かせたが、寝息を立てて普通に眠っているだけだったそうな。
「たまにゃあ石田に惰眠を貪らせてやるのも悪かねぇだろ、大谷刑部少輔さんよ。」
 元親の言う通り、三成は普段睡眠をあまり取らぬ性質であったから、こうして体を休めることは大いに結構であった。だが吉継は難しい表情をしたまま、困惑したように輿に乗って室内をふよんふよんと漂っている(彼のあの輿の動力は何だと疑問に思う者は、西軍内には最早いない)。

 実は昨夜、吉継は三成を強制的に就寝させたのだった。食わぬ眠らぬ、三成の燃費の良さは、お前はどこのハイブリッドカーだ!と言いたいくらいのものだった。流石にその様を是とはできず、得意の呪術を用い、言の霊を並べた子守歌を歌って愛する親友を眠りの淵へと導いた。少々それが効き過ぎているのではないかと思い至ると、吉継は居ても立ってもいられなくなった。
「あまり寝過ぎても体に悪かろ。どれ、起こして来るとするか…。」
「お、石田を起こすのか?なら俺が行くぜ!」
「それなら某が行きたいでござる!」
 吉継が三成を起こしに行くと言うと、元親と幸村が自分が行く、と名乗り出た。幸村に到ってははいはい!と挙手までしている。
「ならぬ。三成の寝顔を他人に見せる訳にはいかぬ。」
「他人、て言い方はひどいんじゃねぇの?俺達ゃ仲間だろ?」
「そうでござる!大谷殿ばかりずるうございますぞ!」
 するとその声を聞いて、元就、官兵衛、義弘がやって来た。
「何を騒いでいる。その程度で揉めるのならば我が奴を叩き起こしてくれよう。」
「あいつが起きて来ないだなんて、明日は槍でも降るかね。さっさと小生が起こして来てやるよ。」
「オイだって三成どんを起こしに行きたいど!爺に任せんしゃい!」
「まぁまぁ皆さん、じゃあ間を取ってここは俺様が……。」
 …いつの間にやら佐助まで現れて、「三成を起こしに行く権」を賭けて戦が勃発。みんな、三成の寝顔・寝起きを拝みたいらしい。



 「小生は秀吉、半兵衛からも信頼されてたんだからな!」
「いつの話だ暗よ。三成からの信頼は皆無に等しかろう。」
「そんなら、やっぱり俺だろうよ!石田とは友達になれたと思ってるぜ!」
「某も某も!!」
 ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん、まるで収拾が付きそうに無い。そんな中、スッパーン!と突然部屋の襖が開いた。
「うるさい!!」
 話題の張本人、三成の登場だった。
「「「「「「「あ。」」」」」」」




 皆で騒ぎ立てたせいで、三成は目を覚ましてしまったらしい。よって彼の寝顔拝見は、次の機会へと持ち越されたのだった。

 (次はよぉ、もう全員で行こうぜ。)
(さんせー!)



 西軍は、今日も平和です。




   おしまい☆



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