盟友!(幸三←家)


 ある日、幸村と三成は賑やかな城下町の茶屋で二人並んで団子を食べていた。
「石田殿、ここの団子はまっこと美味にございますなぁ!」
「…甘い。」

 またある日、幸村と三成は冬の乾いた晴天の下二人並んで散歩をしていた。
「石田殿、今日はいい天気でござるなぁ!」
「…寒い。」

 またまたある日、幸村と三成は鍛練用の木刀を持ち軽い打ち合いをしていた。
「石田殿、相変わらず太刀筋が鋭うござるなぁ!」
「…当たり前だ。」



 武田軍と石田軍が同盟を組んで数ヶ月。最初は三成に冷たくあしらわれ続けた幸村だったが、今では戦場以外でも隣りに立つことを許されていた。何故このような関係が成り立ったかと言えば、どうにか友人になろうと日々距離を詰めて行った幸村の努力の賜物であった。
 しかし三成が彼に心を許した最大の要因と言えば、三成が家康を目指すいきさつを聞き、「石田殿ぉおう、辛うございましたなぁああ〜!!」と顔をべっしょべしょにして泣きながら抱き付いたことであった。当然すぐさま殴られたのだが、「お、ぉお…お館様の御身にそのようなことがあったらと思うと……っ!某…、某ぃ……っ!!う゛わぁああああ!!!共に…共に打倒徳川殿を目指しましょうぞおぉおお!!!」と熱い主君大好き魂を見せ付けたことが、何か三成に通じたのであろう。その翌日から態度が少しだけ変わったのだった。三成と幸村、お互い「主馬鹿」というところに共感したのだろうか……(勿論、幸村の裏表の無い真っ直ぐさを、三成も好ましいと思った上で築けた友人関係であったが)。

 そんな仲睦まじい(?)二人を、吉継と佐助は微笑ましく見守っていた。
「まるで子猫と子犬よな、三成と真田は。ヒッヒ…ッ、善きかな、ヨキカナ……。」
「いやー、まさか凶王の旦那と友達になれるとはね〜!(…ちょっと大谷さん怖いんだけどッ!?)」





 しかし、これを是としない人物が一人いた。東軍の総大将、徳川家康であった。彼は幼少の頃から三成を一途に恋慕い、日々想いを募らせていたのだった。




 物陰に潜み、幸村と三成の様子を窺っている家康。ストーカー以外の何物でも無いそれを見て、町民達がヒソヒソ話しているが本人はまったく気付いていなかった。


 幸村が甘いものが食べたいとせがみ、茶屋に来ていた二人。不穏な目線には気付かず、仲良くあんみつを食べていると、三成の頬に付いてしまった餡を幸村がいきなり舐め取った(その行為に邪な気持ちは無かったと思われる)。三成は突然のことに白い頬を真っ赤にして怒鳴る。
「さ、真田貴様!!」
「勿体ないでござるよ石田殿!」

 これには家康も我慢できなくなり、二人の目の前へ飛び出して行ったのだった。



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