ちぇんじ!C


 三成と清正が昏倒してから一時間くらいが経過しただろうか。二人は、並んで布団に寝かされていた。
「清正〜ぁ…、三成ぃ…。」
 ねね、秀吉と、正則が今にも泣き出しそうな顔をして二人を覗き込んでいる。

 二人がほぼ同時に小さく呻いて、うっすらと目を開けた。
「…起きた!三成、清正、あたしが分かるかい!?」
「大丈夫か、二人とも!」
「清正!三成!」

 目を覚ましたばかりの家族に、三人が同時に話かける。
「「秀吉様、おねね様、正則……。」」
 ゆっくりと体を起こす二人。まずは清正(仮)が口を開いた。
「お前…三成か?」
 問い掛けられた三成(仮)が返事をする。
「ああ。ではお前は清正で間違いないな?」
「「も…戻った!!」」
 思わず抱き合う二人。だが、三つの視線があることを思い出しすぐに離れた。


 「いやぁ、無事戻って良かったのぅ!」
 秀吉が手を叩いて喜ぶと、
「うんうん!原因も分かったしね!」
 それにねねが同調する。
「「原因が分かったのですか!?」」
 またしても綺麗にハモる三成と清正(これでは本当に元に戻ったのか分からない)。
「わざとじゃねーんだよ!俺ぇ……。」
 正則が情けない声で話出した。



 「清正、寝る前に少しだけ酒飲むだろ?最近お前疲れてるみたいだったから、疲労回復の薬を薬庫から拝借してきて、ちょびっとだけそれに入れたんだよ……。」
「で、その精力がつく薬と間違えて、さっきの薬を清正のお酒に入れちゃったって訳なの。」
 申し訳ねぇ!と頭を下げる正則。
「正則にも悪気があった訳じゃないんじゃ、許してやってくれんかのぅ…。」
 釈然としない二人であったが、主に言われては引き下がるより他はない。
「秀吉様がそうおっしゃるなら…。」
「まぁ一応は済んだことだし、反省してるみたいだしな…。」
「二人とも……。」



 これでめでたしめでたし、となるはずだったのだが……。

 「ところでよぉ、酒飲んだの清正だけだろ?何で三成にまで効果が出たんだ?」
 正則の尤もな問いに対し、
「こら正則、それを聞いちゃあ野暮じゃろうが。昨日二人はくんずほぐれつ……。」
 事実を知らないはずである秀吉が返す。それに正則が、納得した様子で大声を出す。
「ああ、ねっとりべろちゅうかぁ!!かーっ、清正やるな〜!俺に頭でっかちの魅力は分かんねーけどな!」



 「「ま、さ、の、りぃいい…!!」」
 ズゴゴゴと効果音を背負い、阿修羅のごときオーラを纏った清正と三成(今にも並んで無双最終奥義を出して来そうなくらい)に、恐ろしい勢いで追いかけ回された正則であった。
 まぁ、お陰で二人の愛は深まったようだが…。


 「ひぃいいぃっ!!許してくれぇ〜!!」



   ☆おしまい☆



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