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ちぇんじ!A
「見慣れてるからいいじゃねぇかよ…。」
ぶつくさ漏らしながら尚も懲りずに自分の乳房をふにふにと触る清正に、
「全裸に足袋一つで大坂城下を走り回って来てやろうか。」
三成が冷ややかに言い放つ。言われた清正は、瞬時に申し訳ありませんでしたぁあ!と美しいフォームで土下座を決めた。城下の民としても裸ソックスで激走する清正など見たくはないだろう。…まぁ間違いなく捕縛されるだろうが。
「なぁ三成、さっき“昨晩の行動に問題があったのかも”とか言ってたよな。」
「ああ…。何か思い当たる節でも?」
「思い当たるっつーか……昨日したことを繰り返してやってみたら、もしかしたら戻るかも知れねぇかと思って。」
「…確かに……。昨夜したことに原因があったとすれば、何かしら手掛かりに繋がるかも知れんな…。」
どうすれば良いのか皆目検討も付かない二人は、取りあえず昨日の行動を思い返しなぞってみることにした。
「昨日はまず、酒を一杯だけ飲んでから俺がここに来て…。お前は何か本を読んでたよな?」
「ああ、これだ。兼続に借りた。」
三成は昨晩読んでいた書物を手に取った。分厚く、三成や兼続が好みそうな何とも小難しそうな内容の本であった。
「もう少しで読み終わるのだが、お前が邪魔をしたせいでまだだ。」
「邪魔って言うな。
で、書物に没頭してるお前を俺が布団に引きずり倒して…。」
昨夜の再現をしようと、清正が三成の腕を引く。……が、びくともしない。お互い体が入れ替わっているのだ、華奢な三成の力で体格のいい清正を引っ張るなど無理な話である。
「…いや、体が逆転してる訳だから、逆に行動しなきゃならねぇのか。」
「……そうなるな…。」
二人の顔が曇る。
「自分の顔した相手に攻めて、自分の顔した相手に攻められねばならんのか……。」
三成はぎゅっと眉間に皺を寄せる。
「つまりお前が俺に挿れ…ぐはぁ!!」
皆まで言わせるか!と、三成が清正を殴った。グーで。
「いくら自分のとは言え、顔殴るなよ!」
「うるさい!俺の体で下品なことを言うなと言っただろう!」
「お前の顔に万が一にも傷なんか残ってみろ、俺は嫌だ!」
「…き、清正……。」
「三成……。」
妙な感じでピンク色の空気を作る二人。まるで磁石が引き合っていくかのように抱き合った。
が。
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