あそんでます。A


 俺がこの家にWiiを持ち込んでからと言うもの、恋人はすっかりそれに夢中だった。今もヨガをやっている。時々二人でマリオをやったりWiiリモコンを振り回して対戦したりするけど、なんだか面白くない。それを与えてしまったのは俺なんだが、面白くないのだ。


 「なぁ三成。」
「何だ?」
 立ち木のポーズ。なんかプルプルしてる。
「飯、今日は俺が作るけど焼きそばでいいか?」
「ああ。」
「塩味でいいな?」
「ああ。」
「具は何に入れる?」
「ああ。
…くっ、足が…っ!」
 絶対聞いてねぇ。こいつ適当に返事してやがる。片足立ちが危なっかしく見えるが、いっそそのままコケてしまえ。
「…もう用意するからほどほどにしとけよ?」
「ああ。」
 やめる気配は無い。
「………。
今日、宗茂に告白されたんだ。付き合ってくれって(嘘)。」
「ああ、そうか。」
 ……この野郎、段々ムカついてきたぞ。つーか正直、ヨガとかやってる姿は目の毒だったりする。今だってあんなに尻を突き出して…。何?俺にくれんの?


 「三成ー、セックスしようぜ。」
「ああ。」
 よっしゃ。
「じゃあベッド行くぞ。」
 俺はWiiの電源を切ると、三成をボードの上から下ろした。
「貴様、何をする!」
「今言っただろ。」
 三成の手を掴むとベッドの上まで強制連行。
「俺はこれからジョギングがしたいのだ、離せ!」
「やだね。ゲームばっかで構ってくんねぇのが悪ぃ。」
 抵抗する三成をたやすく組み敷く。部屋着のTシャツにジャージ姿だから色気なんか微塵も無いけど。
 シャツを一気にたくし上げると、柔らかそうではあるが細い肢体が露わになる。余分な肉など付いて無いように見えるが…。
「三成は充分痩せてるじゃないか。」
「まじまじと見詰めるな馬鹿!
……たるみが…気になるのだ…。」
 そう言うと三成はぷい、とそっぽを向いてしまった。彼女の流れた髪を指で梳いた。
「俺は気にしねぇけどな。」
「でもこのままたるみを放っておいたら、いつか気になるかも知れないだろう!…あ、いや…っ!ち、違う!断じて貴様のためでは無いっ!!」



 顔を真っ赤にして、なんて可愛い。



 「これからするのも有酸素運動だろ?気持ち良くってカロリー消費できるなら、一石二鳥じゃねぇか。」
「い、いやらしいぞこのエロ正がっ!」
「エロくない男なんていねーよ。
今日はWiiボードじゃなくて、俺に乗れ。」
「…っ!馬鹿!!」
 耳元で囁くと、盛大に頭をはたかれたがこいつも満更ではなさそうだった。








 三成、愛してる。

 ………知ってる。




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