きがえ。


 ブルーのボーダー、ピンクとグレーのアーガイル、黄緑色に白の水玉模様。



 これらは別に、俺の部屋のカーテンの柄でもシーツの柄でもない。

 「虎柄もあるのか……。…これは……ミッキーだと…?」
「三成、人のパンツじろじろ見るなよ。」

 あれらは、全て清正のパンツの柄である(形はトランクスやボクサー)。

 うちに泊まりに来る機会が増えた清正。主に生活必需品などだが、少しずつ家に奴の私物が増えてきたので今日の休日は二人で整理をしている。

 「柄パンしか履かないのかお前は。」
 まぁ白のブリーフしか履かない、と言われてもそっちの方が嫌だが。
「うるせーな…。ボトムの下でくらい遊んでもいいだろ。」
「妙な言い方をするな馬鹿。ほれ清正、ここに下着とシャツが入ってるからな。」
「おう、さんきゅ。」
 箪笥の一角を、清正のスペースとして明け渡してやる。シックな色のTシャツなどが多い中、パンツのスペースだけが妙〜にカラフル。目がチカチカするくらいだ。
 引き出しの中を確認のために見せると、何やら神妙な面持ちでそれを眺める清正。
「どうした?」
「…いや、なんかこうしてると、本当に同棲してるみたいだなって。俺の下着とお前の下着が並んでるなんて。」
 そう言うと清正は、くすぐったそうに、照れくさそうに笑った。
「何を…っ、寝言は寝てから言え馬鹿っ!」
 頬が熱いのが分かる。きっとこんな顔で怒ったって迫力はないのだろう、清正が俺の頭をぽんぽんと撫でた。




 仲良く並んで置いてあるものは、いつの間にか増えていた。色違いのマグカップ、歯ブラシ、タオル。冷蔵庫にはお前しか飲まないコーラと俺しか飲まないジャスミンティー。

 …考えたら、俺まで照れくさくなってきた。



 「清正、これが片付いたら夕食の買い物に行くぞ。」
 奴の靴下を箪笥に押し込む。
「ああ、駅前のユニクロも行っていいか?今朝チラシ入ってた。連休で特売やるらしい。」
「それは構わないが、何を買うんだ?」
「パンツ。」

 件の有名衣料品店の大きな広告を手に取ると、“色柄多彩なメンズインナー。見えないところで大胆なおしゃれを。いちばん冒険しやすいファッション。”の文字とデザイン豊富なパンツの数々の写真が目に入った。
(3枚990円…。)



 また派手な柄パンが増えるのか…と思ったが、不思議と嫌な気はしなかった。




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