おかえし。


 ※こちらは、バレンタイン企画「チョコと一緒に召し上がれ」の続編で、ホワイトデーのお話となっております。甘ったるい二人。最後だけちょーっといやらしい?かも知れません。苦手な方はご注意下さい。







 三成が出勤の土曜、俺は財布一つで一人買い物へと出た。ちょっと躊躇しながらも、有名百貨店の入口をくぐる。こんな店、いつもなら来ない。確かに扱っている商品自体はいいものだが、価格はもっとイイ。高級ブランドがひしめき合っていて、俺なんかは全くお門違いの雰囲気だからだ。
 しかし今日は違う。ホワイトデーのお返しを買いに来たのだ。…とは言え悲しいかな、俺は学生の身分。バイト代を貯めて買えるくらいのものしか購入は不可能だから、ブランド品とは言えその中でも比較的リーズナブルなものしか買えない。
(まぁ、こういうのは気持ちだよな……。)
 俺は気を取り直して、品定めを始めた。

 ゆっくりと見定めたいのだが、入る店入る店、店員にやたらに捕まる。「プレゼントですか?」女物のバッグだし、当然俺のじゃあねぇよ。「彼女にですか?」それを知ってお前はどうすんだよ。「このお色、今すっごく売れてるんですよ!」売れてるもんが必ずしもあいつが気に入るもんでもねぇし。俺は若干イライラしながら、財布、バッグ、腕時計と色々見て回った。しかしどれもいまいちピンと来ない。これじゃ三成は喜んでくれない気がしたのだ(そう言やそもそもあいつはブランドとか気にするたちじゃなかった気がする)。どうするか、と頭を悩ませている俺の視界に、見知ったブランドのアクセサリーショップが入って来た。その瞬間、これしかない、と思った。



 やはり、足を踏み入れるとほぼ同時に店員の女に声をかけられた。だがここで購入すると決めたのだから、渡りに舟と言ったところか。恥を忍んでその店員に三成のイメージを伝えたら、シルバーよりもピンクゴールドが似合うのではないかと言われた。ショーケースの前で該当する品々を眺めてみると、確かにシルバーよりも可愛いらしい印象的を受けて、色の白いあいつに似合いそうな色味だと思った。あとはデザインだな。この蝶と花みたいなのが付いているのもなかなか可愛いが……やっぱりシンプルなのが一番いいか。俺はゆるいVのラインを描いたリングに、ハート型のストーンがあしらわれた指輪を選んだ。
「彼女さんの指のサイズはおいくつですか?」
「…あ……。」
 そういや、知らねぇ。
「ちょっと、失礼。」
 俺は店員の左手を取り、薬指の周りをなぞるように触れた。
(そうだな……。)
「アンタより一回り小さいサイズのを。」
 多分、それで三成にはぴったりだろう。
「…は、はいっ!では7号ですね!」
 何故だか顔を赤らめる店員の女。彼女は確認のために7号のそのリングを俺の前に出して来た。
「じゃあこれで。包装お願いします。」



 指輪……とうとう買ってしまった……。こうやってずっと残るような贈り物は初めてするが、先日「将来は結婚したい」だなんて言ってしまって、三成も了承してくれた。だから、そろそろいい…よな?(俺は恋愛経験に乏しいので色々とタイミングが分からない。)
 渡したリングをはめてくれたら、「俺のもの」って感じが凄くする。可愛くラッピングされたそれを見て、ちょっとにやけてしまいそうだった。どうせ三成んちに帰るんだから、ホワイトデー当日まで隠しておくのは無理だろう。どうやって渡せばいいかな、だとか考えながら、帰路につく俺の足取りは軽かった。




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