ねずみ!B


 しかし、ここはいちゃついているカップルが多いな。まぁクリスマス前だし仕方が無いか。今日も寒いしな…。


 ……そう、俺が清正と指なんぞ絡めてぴったり寄り添って歩いているのも、この寒さのせいだ。あとはなんだ、人が多いのではぐれないための予防線。決してここの雰囲気に呑まれたせいでも魔法にかかったせいでもない(それであいつが嬉しそうにしているのは、嫌な気はしないが)。





 あーだのこーだのしてる間に、すっかり夜になってしまった。清正の立てた計画のお陰か、多少の忙しなさは感じたもののショーにアトラクションに買い物にと、随分と満喫できた気がする。ディ○ニーフリーク恐るべし、である。

 「そう言えば清正、随分と通だが今までは誰と来ていたんだ?」
 そこで俺は小さな疑問を抱いたので、率直に投げ掛けてみた。
「……どうだっていいだろそんなの。」
「む?怪しいな、彼女とか昔いたのか?」
「そんなもんいねーよ馬鹿。」
「では誰だ?」
「………正則とか…。」
「……そうか。」 
 すまん聞いた俺が悪かった。野郎二人でディ○ニーとはなかなか頑張ったな清正。
「そんなこといいから、そろそろ花火が始まるぞ。」
「へぇ、そんなのもあるのか。」
「シンデレラ城んとこ、見ててみな。」

 パン、パパン、と軽快な音を立てて、冬の夜空に次々と大輪の花が咲いていく。それに見入っていると、ふと視界が清正のどアップになった。と同時に、かすめるようにキスをされた。
「き、清正っ!」
「誰も見てねーよ、気にすんな。」
 人前で何をする馬鹿!と怒鳴ってやりたかったが、確かに周りの家族連れやカップルも今はみんな花火に夢中だった。まぁ、今日一日楽しかったことと、ずっと与えられていたこの左手の温もりに免じて今回は許してやろうと思った。





 家に帰ると、清正が一人でお土産発表会を始め出した。ショップは一緒に回ったはずだろうに。可愛い缶に入ったお菓子の数々に、いかにもクリスマスな縫いぐるみ。新年にちなんだ和っぽい小物もある。あと、この袋は何だ?
「これパンツ。」
「また買ったのかお前…。」
「前に買ったのとは柄が違ぇよ。それにな…。」
 清正は、がさごそと袋から二枚のパンツを取り出した。
「お揃いだ。」
 ハイ出たミッキー&ミニー!!!まんまなミッキーのパンツ(メンズ)とミニーのパンツ(レディス)。……こいつ筋金入りだ。





 と言うか、また普通に俺の家に二人で帰って来てしまった。そろそろ、もっと広い家に引っ越さねばならないだろうか。そうしたら、こいつからも家賃を徴収しよう。



 ベッドは……まぁ一つのままでもいいかも知れんな。




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