ねずみ!A


 開園と同時に入場し、入口付近にいたキャラクター達とのふれあいもそこそこに何とかって言うアトラクションの何とかパスを取った(俺に名称を覚える気はさらさら無い)。平日とは言えそこは流石ディ○ニー、それなりに混雑しているようだった。


 それから次のアトラクションに並ぶ前に、手袋や帽子などの小物を売っているワゴンに清正が立ち寄った。
「三成はやっぱりミニーマウスだろ。」
 イイ笑顔で清正は、俺に赤いリボンの付いた黒色のネズミ耳カチューシャを試着させた。二人でお揃いにしような、と早くもネズミの魔法にかかっているのか、こいつの常ならぬテンションがいっそ怖かった。
「いや、俺はこっちがいい。」
 俺が手にしたのは白いネコ耳。マリーちゃんのカチューシャだ。
「清正、お揃いならこれにしよう。」
「え、おい!?」
 言うが早いか、俺はさっさと会計を済ませてしまった。購入したのはカチューシャタイプの耳と、ヘアピンタイプの耳とピンクのリボン。
 マリーちゃんの頭のちょんちょこりん、清正の髪型と似てる!


 その場で清正の跳ねた髪のトサカ(?)にリボンを付けて、ピンで留めるタイプのネコ耳を付けてやった。恥ずかしそうにしている清正を余所に、俺もネコ耳カチューシャを装着。
「可愛いぞ、清正。」
 と上目遣いで見上げてから腕にしがみついてやれば、文句を言いたげな様子も何処へやら、すぐに機嫌が治ったようだ。そんなこいつが可愛いと、少しだけ……本当に少しだけ、そう思った。
「…お前だって可愛「そーゆーのはいらん。」





 「そういや三成、お前絶叫系あんまり好きじゃ無かったよな?今並んでるやつジェットコースタータイプだけど平気そうか?」
「…多分、これくらいなら。」
 俺達は今、何とかマウンテンに並んでいる最中だ。さっき外から見たとき、滝から乗り物が落ちてる??みたいなアトラクションだった。見た限りでは落下する高さがさほどでは無く、絶叫マシンがあまり得意では無い俺でも恐らくは大丈夫だろうと思う。
「つーか、案外臆病なんだなぁ。絶叫系駄目だなんて。」
 隣りで清正が馬鹿にするかのように笑っているが、俺はジェットコースターに対し単純に恐怖を覚えている訳では無い。
「ああいった、速度に落ちる高さ・角度共に一定以上を持つ乗り物が走行中に何かしらのトラブルを起こしてみろ。万が一安全バーやシートベルトが外れたりしたら、ケガでは済まんだろうが。俺は、そういうことを危惧しているのだよ。」
 逆に言えば、100%の安全を誓われたならいくらでも乗ってやるということだ。
「………お前らしい心配のし方だな…。」
 清正は呆れたように溜め息を吐いたが俺は大真面目だ。
「ま、でも大丈夫だ。もしお前の安全バーが壊れても、俺が助けてやるから。車外に投げ出されたりしないよう、絶対手ぇ離さねぇから。」
 清正……。


 「しかし、お前の安全バーやベルトが壊れたら?俺ではお前の巨体を支え切れん、最早お前は死ぬしか……。」
「…巨体言うな。どっかにつかまって生き延びるから心配すんな。」
 もう一回、清正に溜め息を吐かれてしまった。



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