アオゾラライトA


 翌日は清正が迎えに来る前に家を出て、バスを使って登校した。


 「何で先に行っちまうんだよ?」
 俺に遅れて教室に来ること10分余り。よほど自転車を飛ばしたのだろう、清正は汗だくで、濡れて所々透けたシャツが肌にくっついていた。
「別に、毎朝共に行く約束などしておらぬ。」
 そう、例の夏祭りも、一緒に行く約束など一度たりともしたことは無いのだ。
「……そりゃそうだけど…。お前昨日だって先帰っちまうし、あの花柄のクッションくっつけて一人で走るの恥ずかしいんだぞ?」


 一瞬にして頭に血がのぼるのが分かった。


「ならば取ればいい!もうお前とは金輪際一緒に来ないし一緒に帰らぬ!!」
「違う三成、そういうことじゃ…っ、うわ!?」
 渾身の力で清正を突き飛ばし、俺は教室を出た。尻餅をついたあいつも、「加藤君大丈夫!?」と駆け寄る女達も、間もなく予鈴が鳴ることももう知らぬ。




 本鈴が鳴ってしまった後も、俺は屋上にいた。一時間目は今川の古典だったか。あの教師は独特で面白いから少々惜しい気もしたが、学習内容自体を取り返すのは俺の頭にかかればたやすいことだった。



 入口の影に座り込んで景色を眺めていると、視界がぼやけて来た気がした。光化学スモッグの季節にはまだ早いのに。




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