アオゾラライト(清三・アオゾラペダルの続き)


 もう間もなく、夏休みがやってくる。清正と付き合うようになってから、初めての夏。


 少し、ほんの少しだけ楽しみ。





 「加藤く〜ん!」

 …清正に群がる女子達。俺の方から、「俺達が付き合ってるっていうのは黙っていて欲しい」って言ってあるのだから仕方ないと言えば仕方ない。悔しいが清正はモテるのだ。それが元であらぬ揉め事に巻き込まれるのは御免被りたいので。


 「今月末に夏祭りがあるよね?」
「それ一緒に行かない?私達の他にも女子や男子が来るよ!」
「みんなで行こうよ!」
 地元の夏祭りは、まるで決まりごとみたいに毎年二人一緒に出掛けている催し物だった(もう一人の幼馴染み、正則も一緒であることもたまにあるが)。数人の女子がまくし立てるように清正に迫っているのを、俺はどこか冷ややかな気持ちで見ていた。
「いや、その日は……。」
 ちらりと清正が俺を見る。その行動に腹が立った。俺にお伺いを立てる意味が分からぬ。その様子に気付いた女子が
「あれ?加藤君と石田さんって付き合ってるの?」
「えー?ただの幼馴染みって前に言ってたじゃん!加藤君、だよねぇ?」
 と、更に清正に迫る。
「清正、行きたいなら行けばいいだろう。今日は幸村達と約束しているから、俺はもう帰る。」
 俺は足早に教室を出た。

 例年通り俺と夏祭りに行く気があるのなら、あそこでは断るしか選択肢がなかったはずである。俺に確認を取るということは、「今年は一緒に行かなくてもいいか?」という意思表示にさえ思えた。夏休みが楽しみであった若干の気持ちは、見事に消え失せた。




 「石田さんって隣りのクラスの真田君とも仲いいよね?」
「あと、誰だっけ〜……ああ、直江君、だっけ?あの人とかともよく一緒にいるじゃん。」
「三人共生徒会だしね。生徒会と言えば、担当の島先生も石田さんに目ぇかけてる感じだよね〜。誰かと付き合ってんのかなぁ?」
「……付き合ってねーよ。」
「え?」
「三成は誰とも付き合ってねぇ!」



 俺のいなくなった教室で、そんなやり取りがあったなどは知る由もなかった。




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