咲A


 「何じゃー清正、楽しくなさそうじゃのぅ。」
「い、いや……。」
 秀吉馴染みの遊郭で、美女ばかりを侍らせて二人は酒を飲んでいた。清正の横では遊女がうふふ、と笑う。
「お前さんが三成とエエ仲なのは知っちょるがなぁ、たまの女遊びくらい良かろうて。ホレ、三成も触りたいときに触らせてはくれんじゃろ?」
「ぶッ!!!」
 秀吉の発言に、思わず清正は口に含んでいた酒を吹いてしまった。隣りの女が、何をしているのお武家様、と拭ってくれたが、きつい化粧の匂いに吐き気がして余計にむせた。




 「お二人さん。」
 一際派手で豪華な着物を着た花魁が二人を手招きすると、それぞれ別の部屋へと通された。
「楽しんで行ってくんなんし。」
 花魁は妖艶な笑みを浮かべ、その言葉と高価そうな香の香りを残して去って行った。

 清正の前には布団が一組。

「おいおい、勘弁してくれよ……。」
 頭を抱えるようにしゃがみ込み、適当に金だけを置いて帰ってしまうかと思っていると目の前の戸が開いた。


「!!」



 現れた女は見紛うはずもない、愛しの恋人。




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