恋人がサンタクロース(清三・現パロ)


 家に帰ると、

 サンタがいた。

 ……正しくは、サンタに扮した三成がいた。しかもなんだ、ミニスカサンタ。
 そんな彼女が、居間のソファーに足を組んでどっかと座っている。なんつー横柄なサンタクロースだ。
「三成……何の真似だそれは…?」
「見て分からぬか馬鹿。サンタクロースだ。」
 …いやそれは分かってるよ。その格好可愛いぞこんちくちょー。
「そのサンタさんが何のご用事で?」
「重ねて馬鹿だな貴様は。サンタクロースの用事など、プレゼントを渡す以外に何がある。ちなみに、お前の両親には夫婦茶碗を贈った。喜ばれたぞ。」
 そう言って優雅に紅茶をすする三成サンタ。そして奥のキッチンから発せられた「三成ちゃんご飯食べてくでしょ〜?」と言う母親の声に、丁寧に返事をしていた(勿論肯定の)。
「それはそうと清正、外から帰って来たら手洗いうがいだぞ。」


 ……もう色々訳が分からない俺は、取りあえず言われた通りに手洗いうがいを済ませて、部屋着に着替えた。居間に戻ると、さっきのミニスカサンタはマカロンを食っていた。それこないだお歳暮でもらったやつだな。俺まだ一個も食ってねーんだけど……(三成は俺の親を懐柔して久しい)。



 「清正、お前にもプレゼントだ。」
 がさごそと、ご丁寧にも持参したらしいそれっぽい白い袋を探る三成。
「ほら。」
 差し出されたのは綺麗に包装された箱。受け取る以外に選択肢が無い俺は、そのプレゼントを素直に頂戴した。
「…開けていいか?」
「構わん。」
 丁寧に緑色のリボンを解いて赤い包装紙を剥がし、箱を開けると、中身は革製の黒いベルトだった。俺が以前、ちょっと良いなって言ってた品物で、そんなに安くは無かったはずだ。
「…これ、もらっていいのか?」
「返されても困る。」
「………ありがと、な……。」
 凄く嬉しいのに、気の利いた言葉の一つも出て来なくて。俺はぼそっとお礼を言うのが精一杯だった。なのに、三成は満足そうに笑うから。俺はますます何も言えなくなってしまう。





 実は俺も三成にプレゼントを用意してあったのだが、この彼女の男前っぷりに完全に渡すタイミングを逃してしまった。…本当は俺が、格好良く渡したかったのに。




 「好きだ」って言葉と一緒に。





 恋人がサンタクロース!




   おしまい☆



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